プレストレストコンクリート(以下PC)有孔梁のせん断に対する設計法の検討提案を行った。現状のPC有孔梁は円形開口でも,日本建築学会PC規準等で示されている矩形開口に見なして,開孔上下を梁として軸筋を設置し,その部分に横補強筋を設置したフィーレンディール梁としてせん断設計されている。一方,鉄筋コンクリート(RC)梁では,円形開口の場合,斜め筋と孔際補強のみでの補強方法が示されている。PC有孔梁でも,RC有孔梁と同様に斜め筋と孔際補強筋でせん断の許容応力度やせん断終局強度の検討と設計法を提案した。RCとは異なり,PCには軸方向力が作用するためその影響を確認,検討する。既往の実験結果の整理と、1/2縮尺のPC有孔梁4体の実験を行った。一部の試験体では、斜め筋にも新しい工夫をして行った。それと共に非線形有限要素解析で,実験結果のシミュレーション解析を行い,内部の応力状況、斜め筋と孔際補強筋の負担状況を確認した。以上の結果から、開孔周りのせん断ひび割れ発生荷重は,プレストレスト力の効果によりRC有孔梁より大きく,せん断強度も大きい傾向にあった。終局強度もRCより大きい傾向となったことが実験から確認された。設計で用いる長期のせん断強度や終局強度について検討を行った。せん断ひび割れ強度(長期許容応力度式)やせん断終局強度はプレストレスト力の効果を軸方向力とし,その1割がせん断に有効として、せん断強度に加算した評価式で,実験結果を良好に評価できた。
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