研究課題/領域番号 |
18K04449
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
池永 昌容 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (50552402)
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研究分担者 |
五十子 幸樹 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20521983)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 免震構造 / ダンパー / 変位最適設計 |
研究実績の概要 |
3年計画のうち、1年目としては数値解析をベースとした研究を展開した。 数値解析ではまずは検討するダンパーの挙動について、製作予定も実物を想定した解析モデルを構築し、実験の予備解析を想定するために解析モデルを用いた地震動時刻歴応答解析を実施した。解析結果を受けて2年目に製作するダンパーに最も適切な性能を同定し、また免震構造物に対してどのようなメリットが得られるかを分析した。分析の結果、質量要素の性能を変位に応じて変化させることで免震層変位を抑制しつつ床応答加速度を低減させる可能性を示した。 これらの解析結果を受けて、2年目に製作するダンパーの性能を検証し、現在その製作図面を作成中である。図面の製作と並行して現在は実験計画である計測計画と必要となる実験内容について検討中である。 数値解析については、長周期長時間地震動に対する追加検討を行い、最適設計手法を利用しつつ質量可変型ダンパーの特性をより把握するための検討を別途行っている。解析結果は現在分析を継続中であるが、質量の性能変化方法についての新たな知見として、研究開始前に想定していた質量要素をダンパー変位に応じて減少させるよりも増大させるほうが変位を効果的に抑制することができる知見を得た。また短時間の入力地震動よりも長周期長時間地震動に対して非常に効果的に免震性能を高めることを明らかにした。また性能変化をさせるタイミングについて、想定したよりも大きな変位でのタイミングにする必要がある解析結果が得られたが、この理由については検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定であるダンパー実験のための予備解析をほぼ順調に終えて、数値解析手法を現状で確認できる範囲では妥当性を確認した。また解析手法を用いた最適設計手法による地震応答解析の結果を分析することができており、概ね計画どおりの進捗であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の解析結果を受けて、現在製作を計画中のダンパーを製作するとともに、実験のための予備解析を行う。実験のための治具製作と実験計画を現在検討しており、ダンパーが完成後には早急に動的加力実験をすることでまずは実物ダンパーと解析モデルの挙動を比較分析する。 なお1年目の解析結果については査読付き論文への投稿を目指して、追加の検討を実施中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に想定していた実験で使用するダンパー治具の製作について、慎重な検討のためにもダンパーの設計を優先した結果、治具製作費分を次年度に繰越すこととなった。次年度以降は試験体ダンパーの製作と実験治具の製作費、また東北大学五十子幸樹教授との研究打ち合わせのための旅費、そして実験にあたっての謝金を予定通り執行する計画である。
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