3年計画のうちの最終年度として、これまでの研究成果を取りまとめた。取りまとめた内容としては以下の通りである。 1年目・2年目に想定したダンパーの試作機による実験結果を受けて、その性能評価手法を構築した。2年目に構想していた性能変化のメカニズム改良については、数値解析の結果からメカニズム改良をする必要がないことが明らかになったため取りやめている。その一方で性能変化のメカニズム構築において当初想定していた変位ではなく、速度による性能変化を実現するダンパーを製作し、その動的性能の確認と性能評価手法の構築をすることができた。 数値解析については、去年度のダンパー実験をもとにした数値解析の結果を精査して改良を加えた解析モデルに、応答倍率曲線とエネルギー応答の観点からの新たな考察内容を加えることで、質量性能変化の時刻歴挙動をより深く理解することができた。特に2年目には検討課題として残されていた質量可変による地震時応答の改善メカニズムについては、応答倍率曲線における共振周波数の時刻歴上の推移を分析することで明らかにした。 なお2年目でも検討課題として指摘した性能変化のタイミングに対する知見と決定アルゴリズムの提案については、本研究の範囲内では知見を得ることはできたものの明確にアルゴリズムを提案するには至らなかったものの、近年の実務設計において大きな障害となっている設計用模擬地震動に特化した知見を得ることができた。
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