(1)高性能ファサードと自然換気・外気導入制御の複合効果の解析:代表的な高性能ファサードとしてLow-E複層ガラス使用のエアフローウィンドウ(AFW)、ダブルスキン(DSF)、Low-E複層ガラス一般窓とルーバーの組合せを取り上げ、自然換気や外気冷房との複合効果を解析した。AFWは、DSFに比べ断熱性が高く暖房負荷を抑える一方冷房負荷が増大する欠点があるが、自然換気・外気冷房との組合せにより年間熱負荷を効果的に低減できる、ルーバーファサードは、ルーバー形状によってはDSFと同程度の日射遮蔽効果が得られるが、自然換気・外気冷房の熱負荷低減効果は小さくなることを確認した。 (2)カラーマップによる高性能ファサードの地域適性評価:国内836地点について、年間熱負荷を数値計算してカラーマップ表示することにより、地域気候に適するファサードを検討した。外気負荷を含む装置負荷で評価すると、東北以北・関東内陸・中部地方はAFW、沖縄はルーバー建築、その他の地方はDSFが適する傾向があり、外気負荷を含まない室負荷で評価するとAFWの適する地域は減少し、DSFやルーバーの適する地域が増える。 (3)地域気候に適する住宅の外皮性能評価:住宅のファサード性能の重要性に着眼し、戸建住宅の外皮性能の評価を試みた。非住宅建築と異なり、高性能化により冷暖房の依存度を減らせることから、自然室温で評価する方法を採用した。国内代表都市について、断熱性向上による冬期熱環境の向上、自然換気や日除けの併用による夏期熱環境の向上を評価し、地域に適する仕様を検討した。 (4)空調設計用気象データの妥当性確認:開発した空調設計用気象データの妥当性の確認を行った。国内50都市について、30年間の実在気象を用いた熱負荷計算から各年の負荷超過率を求め、その傾向を把握するとともに十分に小さな超過率であることを確認した。
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