システム構築にはVBを使用し、CFD解析及び随伴変数法(逆解析)には、FlowDesigner(㈱アドバンスドナレッジ研究所)を使用した。令和2年度は主に以下の3点についての検討を実施した。 ① 換気効率を考慮した開口配置に関する最適解探査効率の検証 ・・・ CFD解析を評価関数として扱うGAについて、従来の「交叉」に代わり、随伴変数法から遺伝子を生成する方法を提案するが、通常の交叉を用いた場合と比較して最適解到達世代数の低減がどの程度可能であるかについて検証し、傾向分析を行った。世代が進行した際の性能向上速度および最終的に最適解到達に要する世代について最適化ロジック毎に確認したところ、基本的に随伴変数法を組み合わせた方が最適解探査効率は向上するが、探査効率が低下した際には、随伴変数法とは別の方法で生成した遺伝子(候補)を追加による探査効率低下の改善が見られた。 ② 通風を考慮した住宅の配置・形状計画に関する位置感度の適用検討 ・・・ ①の検討では随伴変数法により位置感度を算出する。この位置感度について簡易形状建物および計画中の住宅群を対象に、精度検証を実施した。対象建物の2階部分は分棟形式であるが、位置感度通りに配置させることで通風性状の向上が見られ、今後の位置感度の利用に役立つ基礎的知見が得られた。 ③ モーメンタム法における体積力付与量の調整に関する予備検討 ・・・ ①の検討と並行して、空調時のCFD解析で用いられるモーメンタム法を対象に、随伴変数法を用いて付与する体積力を最適化する方法について試行した。随伴変数法の適用を繰り返すことで、目標とする気流性状(最小拡散半径)に近づく傾向が見られた。現状、最適解到達に至るまでの効率(解析数)が課題でありが、将来的にGA等の大局的最適化手法を組み合わせることで効率改善が期待できる。
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