本研究の目的は、1)世界標準を目指す「エコディストリクト(EcoDistricts)」の枠組みとその共通言語である「エコディストリクト・プロトコル」の内容を修得すること、2)名古屋市中区錦二丁目で実践する「錦二丁目低炭素地区まちづくりプロジェクト」に「エコディストリクト」の枠組みを実験的に適用し、その可能性と課題を明らかにすること、3)「低炭素化」を超えた環境・社会・経済の持続可能性や都市のレジリエンスを追求するための枠組みとしての「エコディストリクト」を日本の既成市街地に適用する際のガイドラインを作成することであった。 1)は、エコディストリクト・サミット及び同研究フォーラムへの参加、エコディストリクト認証制度の成立過程と適用事例に実態に関する査読付論文の出版、エコディストリクトの評価作業への参加、専門家認定資格の取得等を通じて達成した。 2)については、錦二丁目まちづくり協議会低炭素地区会議議長として、エコディストリクトの枠組みの「組織化」と「ロードマップ作成」の段階に相当する活動に取り組んだ。錦二丁目エリアマネジメント株式会社とも連携しながら、錦二丁目エリアプラットフォーム(N2/LAB)の未来ビジョン策定に参加し、その目標の1つであるSDGsの実現に向け、エコディストリクトで重視されている気候変動適応の要素をまちづくりに導入するためのワークショップを3回開催した。 3)については、ガイドライン作成につながる取り組みとして、シティラボ東京連続セミナーの企画・実施、国土交通省・全国エリアマネジメントネットワーク公開イベントでの基調講演とディスカッション、東京大学都市計画研究室・日建設計総合研究所のメンバーを中心とするエコディストリクト研究会の設立、全国エリアマネジメントネットワーク研究交流会における活動報告、都市計画学会まちづくり懇話会の企画・実施等の実績を残した。
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