研究課題/領域番号 |
18K04483
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大西 康伸 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (20381006)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ファシリティマネジメント / 維持管理 / MR、AR、VR / BIM / データベース / HMD / モーションキャプチャ |
研究実績の概要 |
本研究は、既開発のBIMを用いたグラウド型建物維持管理システム(BIMS)のデータベースに蓄積された多種多様な維持管理情報を、維持管理の現場(オンサイト)において効率的・効果的に利活用することを目指している。そのために、「Mixed Reality(MR)技術を用いた部材・機器に関する維持管理情報の現実空間との融合的閲覧」を可能とする一連のシステムを開発することを、本研究の目的とする。 1)xReality技術(VR、AR、MR)やHMDに関する基礎調査を、論文や文献を対象に行った。加えて、建物維持管理におけるxReality技術の実践的活用事例を調査した。 2)MRシステム開発に先立ち、空間内に浮遊する情報表示パネルを用いて維持管理情報を閲覧するという、維持管理情報閲覧手法を提案した。さらに、この手法を実装した、VR(HMDによる立体視)およびモーションキャプチャーを活用したプロトタイプシステムを開発した。維持管理対象建築物を立体視したバーチャル空間の中で、手のジェスチャを使い維持管理情報を閲覧するシステムである。このプロトタイプシステムは現実空間と維持管理情報を重畳するものではないが、空間内での維持管理情報のあり方について疑似体験することができる。 3)維持管理担当者を対象とした構築手法の評価の結果、a)維持管理対象建築物と維持管理情報が空間内に一体的に表示される点、b)手のジェスチャで直感的に操作できる点、c)俯瞰とアイレベルのどちらからでも維持管理情報が閲覧できる点の3点について評価された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」と判断した理由について、以下に示す。 1)空間内での維持管理情報の閲覧手法の提案とその評価に関して、予定していた以上に手間取った。通常の平面的な広がりの中での情報閲覧と根本的に異なるため、その特徴を生かした方法を試行錯誤の中で見いだした。逆に言えば、この部分についてだけでも十分に研究成果としての意義があると言える。2)時間的制約から既開発のBIMSのデータベースとの接続まで行えておらず、現在のところダミーデータで提案・評価を行っている。3)現実空間と維持管理情報を重畳するためにMRデバイスを用いるが、研究遂行に適した機能を搭載するMRデバイスのリリースが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)研究遂行に適した機能を搭載するMRデバイスを導入し、提案した維持管理情報閲覧手法を組み込んだ現実空間と維持管理情報を重畳するMR維持管理情報閲覧システムを開発する。MRデバイスのリリース時期に依存するため、場合によってはタブレットを用いたAR技術を活用した現実空間と維持管理情報の重畳を行う。この開発はMR技術を用いることの一部となるため、特に研究計画に支障を及ぼすとは考えない。2)既開発のBIMSのデータベースとの接続を行う。その際、BIMSの一部改良が必要となることが予想される。3)既にBIMSを運用しているオフィスビルでの、開発システムの試験運用とシステム評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行に適した機能を持つMRデバイスのリリースが遅れているため、代わりにMRデバイスより安価なVRデバイスを購入し、維持管理情報の空間内での閲覧手法を構築した。その差額が使用額の差に表れている。 次年度は、前年度の繰越額と次年度購入予定のサーバのスペックを研究遂行上問題のない範囲で若干落とした額を加えて、MRデバイスを購入する。
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