最終年度では、国際的なまちづくりの動向を把握するために、コロナ禍で「フローの空間」が変容しているシンガポールと、再生可能エネルギーの普及が進むドイツ・フライブルクの現地調査を行った。 シンガポールでは、空港周辺のチャンギビジネスパーク、アーバンファームEdible Garden City、中心部のカトン地区などでの空間変容を把握した。またシンガポール工科デザイン大学の村上迅教授と、コロナ禍による「フローの空間」の変容に関する知見をまとめた。 ドイツ・フライブルクでは、景観保護地区にある旧市街地、Waldsee住宅地、Haslach住宅地、開発地区にあるVauban住宅地での、太陽光パネル設置状況について把握した。全体的に景観規制が厳しいフライブルクであるが、市民の意向を踏まえて地域の自立を前提として、各市街地で太陽光パネルの建物屋根への設置といった再生可能エネルギーの導入が進んでいる実態を明らかにした。 コロナ禍によって、国際的に身近な公共空間の活用が進んでおり、国内では既存市街地におけるWalkableな街路空間計画に関する研究や、設置管理許可制度を用いたパークマネジメントに関する研究を進めた。 研究期間全体を通じては、①外国人と協働するまちづくり手法を、外国人居住者状況の把握、外国人観光客急増地区におけるまちづくりの実態把握、外国人が参画するまちづくりワークショップ手法の実践から開発し、②国際的に取り組みが進んでいる身近な公共空間の活用手法の国内外における実態把握、そして③国際的な関心が高まっている再生可能エネルギーをめぐるまちづくりの国内外における実態把握、の3点から国際化と連動するまちづくり手法を構築することができた。研究成果は、6本の査読論文、国内学会発表が9本、国際学会発表が3本、著書が1本であった。更に2023年度に、国内学会で1本の研究成果を発表する予定である。
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