都市政策では中心市街地再生が求められているが,中心市街地ならではの生活を定着させるためには,市民感情の観点からも中心市街地再生のあり方を検討することが不可欠である.本研究によって,広く課題となっている空洞化というハード面だけでなく,中心市街地が感情の拠り所としての役割を失ってきたということが明らかになり,そのうえで,体験の記憶の重要性が示唆されたことは,今後の中心市街地再生のあり方に手掛かりを与えるものである. 学術的には,「感情の地理学」など近年感情に対して新たに学術的な視線が注がれる中,都市計画学の分野で,感情を客体化し,定量的に都市との関係の一端を明らかにしたことに意義がある.
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