研究課題/領域番号 |
18K04502
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
北原 啓司 弘前大学, 教育学部, 教授 (30177860)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 事前復興 / 立地適正化計画 / コンパクト・プラス・ネットワーク / 南海・東南海大地震 / 復興まちづくり |
研究実績の概要 |
非被災地では真の持続可能性を求めて、事前復興的な計画論と立地適正化計画をつなげ、本格的コンパクトシティ政策が進められていく必要があり、今がその絶好のタイミングでありながら、一刻も早い事業実施を目的に、被災地の復興計画に比べて危険性の高い立地適正化計画が進められている現実がある。そこで本研究は、現在全国で進められている立地適正化計画を、事前復興の観点からその有効性を検証することにより、本格的な事前復興を計画論の中に位置づけていくことを目的として研究を進めた。 具体的にはポスト復興期において、立地適正化計画が、復旧・復興を持続可能な都市計画につなげる可能性を探りつつ、事前復興の真の必要性をこの時期に再確認するための調査を実施し、かつコンパクト&ネットワークのあるべき姿を描くための先進事例調査を実施していくことが主たる目的であり、以下の課題を明らかにすべく、平成30年度は以下の研究を進めた。 (1)復興まちづくり計画におけるコンパクト&ネットワーク化の実態と立地適正化計画策定に向けた取り組みがどのようにオーバーラップしているのかを宮古市、大船渡市、石巻市を対象にヒアリング調査を実施した。 (2)南海・東南海地震による津波予測が発表されている各自治体の立地適正化計画が、事前復興の観点からどのように策定されているのかを、愛知県、三重県の都市計画部局に対するヒアリング調査を実施し、前年度までの調査結果(徳島県、静岡県)と比較分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度に脳出血のため入院を余儀なくされ、2018年8月から10月まで3ヶ月の入院をし、その後12月まで遠距離の出張が不可能となった。そのため、平成30年度に実施を予定していた米国ポートランド市を対象としたコンパクトシティ政策に関する実態調査、および被災していない東北各地の自治体における立地適正化計画の実態調査を国土交通省東北地方整備局内の「コンパクトシティ推進研究会」の協力のもとにアンケート調査を実施する予定を次年度以降に実施せざるを得なくなった。 そのため調査スケジュールを変更し、31年度に進める予定の非被災都市の立地適正化計画に関する調査分析を主とし、また東日本大震災の被災地大船渡市の立地適正化計画策定に向けた動きに対して連携して研究を進めるべく2019年1月から本格的に活動を始め、結果的に東日本大震災津波被災都市初の立地適正化計画策定の実施に向けた動きに結びつくこととなり、次年度に進めるべき活動を予定より早く進めることができ、次年度に米国調査を実施する環境は整えることができた。 とはいえ、米国調査のための補助金が今のところは未使用となっているため、(3)やや遅れていると自己評価をくだしているが、現在は健康状況は万全であり、当初の予定通り研究を進めて、平成30年度実施予定の研究活動についても実施することは可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初、平成30年度に実施予定だった以下の二つの研究調査を進めていくこととする。 (1)被災していない東北各地の自治体における立地適正化計画の実態調査として、国土交通省東北地方整備局内の「コンパクトシティ推進研究会」の協力のもとに、非被災自治体に対するアンケート調査を実施し、コンパクト&ネットワークという観点から捉えた立地適正化計画の評価と立地適正化計画における農村部の位置づけ等について明らかにする。 (2)第一次産業の空間と都市空間との相互交流をライフスタイルにつなげる米国ポートランド市のコンパクトシティ政策に関して、実地視察をするとともに、山崎満広氏(元ポートランド市開発局オフィサー)に対するヒアリング調査を実施する。 以上の調査研究を進めながら、昨年、宮古・大船渡におけるヒアリングを実施した復興まちづくり計画におけるコンパクト&ネットワーク化の実態調査を、釜石市、気仙沼市、石巻市、岩沼市等を対象に実施し、特に大船渡市においては立地適正化計画策定の動きに対応した実地調査を実施することとなる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に入院を余儀なくされ、遠距離の出張が不可能となったため、平成30年度に実施を予定していた米国ポートランド市を対象としたコンパクトシティ政策に関する実態調査を次年度以降に実施せざるを得なくなった。そのため次年度使用額354,871円が生じることとなっている。 そのため調査スケジュールを変更し、31年度に進める予定の国内調査を、退院後先に30年度に実施して、その後の調査スケジュールを調整することができ、次年度の実施計画においては、現在は健康状況は万全であることから、米国ポートランド市への実地調査を実施することとして、354,871円を使用する計画である。
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