研究課題/領域番号 |
18K04509
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 協太 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40434980)
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研究分担者 |
亀田 尭宙 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (10751993)
包 慕萍 大和大学, 理工学部, 准教授 (40536827)
甲山 治 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70402089)
柳澤 雅之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (80314269)
宇野 朋子 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (90415620)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 居住環境 / 気候応答 / データベース / シミュレーション / ヴァナキュラー建築/民族建築 / デザイン実践 / スリランカ |
研究実績の概要 |
本年度は、スリランカへ渡航し、これまでの分析で得たヴァナキュラー建築/民族建築が持つ、人の快適に過ごすことのできる空気状態と実際の気候とのギャップを調整する仕組みを組み込んだ建造物を実際の居住地で建設し、環境測定をおこなってその微気候形成の効果を検証する予定であった。 しかし、国外へ渡航することは困難な状況であったため、実物を建設してその微気候形成の効果を検証するという手順を見直し、実物を建設する前の段階で、建造物が建設された場合にそこに生まれる微気候と、建造物の理想的な形態と材料特性の検討とを高い精度でおこなう手法を開発して、実際に建設される建造物の質をあらかじめ担保するというアプローチをとることとした。 具体的には、建造物の3Dモデルをコンピュータ上で作成し、建造物の内外に形成される空気状態を計算する、ヴァナキュラー建築の微気候シミュレーションの手法を、RhinocerosとGrasshopperおよび関連アプリケーションを組みあわせて構築した。 また、このヴァナキュラー建築の微気候シミュレーションを用いて、東アジアの代表的ヴァナキュラー建築である北京(中国)の四合院を対象として、そこに生まれる微気候と、その気候応答メカニズムの分析とを進めた。 ヴァナキュラー建築の微気候シミュレーションを用いて、さらに、スリランカの上座部仏教寺院がスリランカで建設を予定している住居を対象に、その気候応答性能の評価と設計とを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、実物を建設してその微気候形成の効果を検証するという手順を変更することとなったが、建設に先立ち微気候形成の効果を建造物の3Dモデルを用いてシミュレーションをおこなう手法を開発したことで、建造物の生む空気状態を担保する、という研究目的をより高い精度で満足できるようになった。 加えて、シミュレーション手法により、ヴァナキュラー建築/民族建築の生む微気候の定量的評価と気候応答メカニズムの検証が可能になるという、副次的成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
スリランカの上座部仏教寺院が建設を予定している住居の、ヴァナキュラー建築の微気候シミュレーションを用いての気候応答性能評価と設計とを完了させる。 当該住居の建設完了後、可能であればスリランカへ渡航して環境測定をおこない、シミュレーションと実際に形成される微気候との相関を検証する。 ヴァナキュラー建築の微気候シミュレーションの分析結果を加えたデータベースを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎資料として購入を予定しているEncyclopedia of Vernacular Architecture of the Worldの第二版の出版が延期されたため、その購入費用を繰り越した。加えて、海外への渡航が困難であったため、スリランカへの渡航費用を繰り越した。 Encyclopedia of Vernacular Architecture of the Worldの第二版は本年出版予定である。スリランカへ渡航して実施予定の研究の一部は、今年度からシミュレーションでおこなうこととした。そのため、渡航費用の一部は、シミュレーションの構築と実施に用いる。
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