研究実績の概要 |
平成30年度は文献・写真解析に基づく「ピトレスク」概念の歴史研究を中心に行った。 古きパリ委員会(CVP)議事録の精査などにより「ピトレスク」概念の語彙的定義を探求し、アジェの写真による景観分析を行った。 具体的には、イギリスピクチャレスク美学を概観した後、各時代の辞書により「ピトレスク」概念の定義の変遷を明らかにし、フランス国立図書館デジタルアーカイヴから1898年から1933年のCVPの議事録を収集・分析した。 写真に関しては、ウジェーヌ・アジェが1906年から撮影した「古きパリの地誌Topographie du vieux Paris」シリーズを対象とし収集・分析した。 また、現在の都市空間の保全制度の状況解析については、パリ市およびリヨン市の地区評議会による都市景観に関する合意形成について調査・分析を行った。具体的には、パリ市13区における参加型予算と呼ばれる市民提案型のプロジェクトの実施状況に関して、およびリヨン市におけるCivocracyと呼ばれるネット上での合意形成プロジェクトに関する調査・分析を行った。 研究成果を、2018年7月の神奈川県横浜市における国際学会International Planning History Societyにおいて、Kumi Eguchi, Shota Tokunaga, Study on the Comparative Analysis on the Process of Consensus-Making in Area Councils in France, International Planning History Society 2018, 2018.07. および江口久美, イギリスにおける田園都市の系譜とピクチャレスクの概念, 日本建築学会大会学術講演梗概集. F-1, 519-520, 2018.09.として発表した。
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