研究課題/領域番号 |
18K04512
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
川田 菜穂子 大分大学, 教育学部, 准教授 (90608267)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 住宅政策 / 住宅アフォーダビリティ / 家族形成 / 若年層 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
2020年度は、主として以下の2つを実施した。
①若年層の住宅アフォーダビリティと家族形成に関するミクロデータの分析:Luxembourg Income Study Database (LIS)にアクセスし,イギリス・フランス・アメリカを中心に,若年世帯の住居費負担に関する分析を行った。多くの国において,借家の場合の家賃負担,持ち家の場合の住宅ローン返済ともに増加の傾向がみられ,とくに低所得層で住居費負担率が高まっていることを確認した。また,Luxembourg Wealth Study Database (LWS)にもアクセスし,若年世帯の住宅資産・負債(住宅ローン)の保有実態とその動向についても把握した。どの国においても,若年世帯の負債保有が近年にしたがって増大しており,とくに低所得層において負債(住宅ローン)保有率が上昇していることを確認できた。
②若年層の住宅アフォーダビリティと家族形成に関する独自調査(WEB調査)の検討:新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受けて,2020年度に予定していたイギリスでの現地調査を実施することができなかった。2021年度も実施できるか不透明なため,WEB調査(定量調査)への変更を検討し(日本およびイギリスで,それぞれ25~39歳の男女2,000人/計4,000人を対象に実施),調査項目を検討した。日本調査は,大分大学教育学部研究倫理審査委員会の承認を経て,2021年4月に調査を実施した。イギリス調査については,イギリス政府や公的機関が実施する住宅や家計,家族に関する調査の調査票を数多く収集し,日本と比較可能な設問内容,選択肢等の検討を行った。イギリス調査は2021年度中の実施を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受け,2020年度に延期していた海外現地調査を中止し,WEB調査(定量調査)に変更することとした(日本,およびイギリスで実施)。また,発表登録をした国際学会(2020 Asia Pacific Network for Housing Research Conference/ Kuala Lumpur, Malaysia 2020年8月開催)が延期になったが,詳しい日程や開催方法がまだ決定していない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に予定していた海外現地調査をWEB調査(定量調査)へと変更し,2021年度中に実施する予定である。すでに日本調査は2021年4月に実施済である。イギリス調査は,新型コロナウイルス感染拡大による社会状況をみながら,2021年度内に実施する予定である。調査結果は,未婚・有配偶の2つのグループに分けたうえで,自立・家族形成の実態や意識(親との同別居や結婚,子ども数等)に,住宅アフォーダビリティ(住居費負担,住宅の居住水準,住環境の満足度等)がどのように影響しているかを明らかにする。両国の比較によって,日本の特性や課題をより明確に明らかにする。 また,独自調査の結果をもとに,家族・人口の諸課題の改善に寄与する住宅政策について,効果的かつ具体的な支援内容を検討したい。 研究成果は国内の学会誌に投稿し、延期されている国際学会での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受け,2020年度に延期していた海外現地調査が中止となった。また,参加予定であった国際学会(2020 Asia Pacific Network for Housing Research Conference/ Kuala Lumpur, Malaysia 2020年8月開催)が延期になった。 2021年度も海外での現地調査の実施や国際学会への参加ができない可能性が高いため,現地調査の予算や学会参加のための旅費を,WEB調査(定量調査)の実施費用にあてることにした。
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