研究課題/領域番号 |
18K04512
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
川田 菜穂子 大分大学, 教育学部, 准教授 (90608267)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 住宅政策 / 住宅アフォーダビリティ / 家族形成 / 若年層 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
2021年度は,若年層の住宅アフォーダビリティと家族形成に関する独自調査(WEBアンケート調査)の検討・実施・分析を行った。 日本調査は,2021年4月に首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)に居住する若年層(25~39歳の男女2,000名)を対象として実施した。調査項目は,個人や世帯の基本的属性,社会経済的属性,家計における住居費負担,資産保有,持ち家取得の詳細(取得額や住宅ローン返済の詳細),現住宅の状況(建て方や面積,室数など)や満足度,家族形成(親からの自立や結婚,子ども)の状況や意向などである。調査の目的上,調査への協力やデータの取り扱い,分析等に配慮を必要とすることから,大分大学教育学部倫理審査委員会の承認を得て実施した。 日本の若年層では,未婚,単身,女性,非正規雇用などの属性で,住宅アフォーダビリティに課題を抱える者が多くなっている。また,住宅アフォーダビリティと家族形成意向の関係に関して分析したところ,未婚者の結婚意向については,親との同居や一定水準未満の住宅への居住が弱める要因となっていること,希望子ども数については,未婚者では住居費の過剰負担,有配偶者では一定水準未満の住宅への居住が,少なくする要因となっていることなどを明らかにした。独自調査の実施により,既存調査の二次分析ではできない実証を行うことができた。 日本調査の結果をふまえて,比較可能なイギリス調査の内容を具体的に検討した。2022年度の早い時期に,予算内で実施できるよう調整している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受け,2020年度に延期していた海外現地調査を中止し,WEB調査(定量調査)に変更することにしたため,全体的な遅れが生じている。また,発表登録をしていた国際学会(当初は2020年開催予定)が,2022年に延期された。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,2021年度に実施した日本調査のデータについて,さらに分析を深める予定である。また,イギリスの若年層を対象とした比較調査を,2022年9月までに実施する予定である。両国の比較によって,日本の特性や課題をより明確にしたうえで,家族・人口の諸課題の改善に寄与する住宅政策について,具体的な支援内容を検討したい。 日本調査の結果については,2022年9月に開催予定のInternational Federation for Home Economics (IFHE) World Congress in Atlantaで口頭発表を行い,査読論文としてとりまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
イギリス調査が2022年度の実施となり、その調査委託費にあてるため。また、2020年度に参加予定であった国際学会がさらに延期となり、2022年に開催されることになったため(オンラインにて口頭発表を予定)。
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