本研究は、若年層における住宅アフォーダビリティの実態とそれらが家族形成(親世帯からの自立や結婚・パートナーシップ形成、出産など)に与える影響を明らかにし、家族・人口の諸課題に対応するための住宅政策のあり方を検討した。日本を含む多くの先進国では、若年層において住居費負担の増大や持ち家率の低下などの傾向がみられる。それらの背景には、社会住宅の縮小、住宅手当の縮小や厳格化、金融規制緩和や物価高による住宅価格の高騰などの住宅システムの変化がある。本研究は、日本の特徴として、とくに未婚の若年層で結婚や子どもを持つ意欲が低く、親との同居や住居費の負担感、居住水準などの要因が影響していることを指摘した。
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