研究課題/領域番号 |
18K04519
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
高橋 儀平 東洋大学, 工業技術研究所, 客員研究員 (60058162)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バリアフリー環境 / 日中韓比較 / バリアフリー法 / 当事者参加 / 障害者団体 / バリアフリー評価 / 東京2020オリパラ施設 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本、中国、韓国におけるバリアフリー環境の到達点に対してユーザー参加がどのように実現し、その推進力となってきたか、またそれらをユーザー自身がどう評価しバリアフリーの発展に資すると捉えてきたかについて、日中韓の3カ国において研究者、障害者、行政担当者等の現地調査を踏まえて考察するものである。2019年度は2018年度に引き続き海外情勢を考慮し、韓国、中国調査と日本国内の調査研究を実現している。韓国では、2019年3月末の調査に引き続き4月韓国障害開発院ユニバーサルデザイン室、建国大学ユン研究教授のヒアリング調査を行った。また韓国情報については2019年3月に公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団が実施した「韓国バリアフリー認証制度」の報告書を入手し分析した。中国調査は北京調査が諸事情により困難であったため、国際化が進む深センのアクセシビリティの現状調査を2020年1月に実施した。国内では東京2020大会の競技場として整備された新国立競技場(2019年11月竣工、12月引き渡し)、および2019年度夏から順次竣工している都立競技施設における障害当事者参加の成果について検証を開始した。また自治体研究では、2018年度に引き続きバリアフリー基本構想協議会を有して参加プログラムを実現している北区、渋谷区、大田区(研究代表者が会長)における当事者参加の取り組み、全国のオリパラホストタウンを先導する明石市のバリアフリーの取り組みについて現地調査を実施した。成果としては、韓国便宜増進法(バリアフリー法)における当事者参加の実態調査が少しずつ明確になってきたこと、オリパラ施設関連では、新国立競技場の当事者参加の取り組みを地域におけるバリアフリー基本構想等で実現するための課題が明らかとなったことである。中国、韓国調査は引き続き最終年度も取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由の一つには海外情勢の変化があるが、国内調査は新たにオリパラ関連施設における当事者参加の取り組みを加えて充実しつつある。「研究実績の概要」では文字数の関係で記していないが、2019年8月の日本福祉のまちづくり学会全国大会で東京2020オリパラ大会レガシーにおける当事者参加の在り方に関するシンポジウムを開催、10月には多様な当事者ニーズを取り入れた公共トイレの整備のあり方に関する研究会、国交省バリアフリー法関係の各種委員会、東京都福祉のまちづくり事業等に参画し、研究情報の蓄積を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」に記した通り研究の進捗はやや遅れてはいるが、2020年度は最終年度であり、韓国、中国での現地調査、国内での当事者調査を推進し、東京2020オリパラ大会建設時等国内のモデル的バリアフリー環境形成事例における当事者参加の実態と評価を行っていく予定である。 北区、渋谷区、大田区、練馬区等では障害者参加の現状を把握しつつ新たな提案を進める。また、2019年度からスタートした国土交通省が所管するバリアフリー事業評価検討会に副座長として引き続き参加し、国レベルに求められる論点と課題を整理し、具体的な提案を予定している。 関連する学会等では、研究成果のパフォーマンスとして当事者参加の展開に関する公開セミナーを10月頃に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外調査旅費は中国、韓国関係機関からの招聘により不使用となった。また2019年度後半の中国、韓国調査が国際的な諸事情により遂行できなかったことが挙げられる。これらの繰越金を含めて最終年度としては、国内外の諸事情を勘案しながら計画的に研究費を使用していく。また2020年度は成果発表セミナー、研究打ち合わせ時に人件費(手話、要約筆記等)、また取りまとめの文献調査として海外文献翻訳費が増加すると思われる。
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