研究実績の概要 |
平成30年(昨年)度の東北・関東・中部地方の神社のデータベース(42,520件)に対し、令和元年度は、北海道715件、近畿9,488件、中国6,381件、四国5,050件、九州10,099件、計31,733件となり、宗教年鑑の神社数34,271件と概ね同様となった。昨年度と同様にアンケートの受取割合を高める為に、宮司の居住する可能性が高いと考えられる神社を抽出し、3,578件に送付した結果、有効回答は932件(20.9%)得られた。ただし、返戻数も659件(14.7%)と前年よりも多くなった。 これら令和元年度の研究成果は4年生2名が卒論のテーマ「全国の神社社殿の形式と組み合わせの実態に関する研究」、「神社社殿(本殿、拝殿)の構法と維持保全の実態」を2月初旬の卒業論文発表会にて発表した。主な内容は、神社の実態(由緒、移転履歴、兼務神社、氏子、参拝者、祭事、境内の利用)、社殿(本殿、拝殿)の形式、社殿(本殿・拝殿・幣殿)の組み合わせ、社殿を建替えた時代と建替え理由、現社殿(本殿)の竣工時代と今後の使用予定期間、現社殿(本殿)の構造材(柱材)、現社殿(本殿)の構法的特徴とした。 以上をまとめ、改めて社殿の組み合わせや形式が多様であることなどを総括したが、同時に社殿の組み合わせや形式と、地域性や各神社本殿で祀られる神様との関係、返戻郵便の多い地域(過疎)など、未だ明らかにできていない研究課題も見えてきた。 本年度(3年目)の研究では、神社の形式に関連する文献を精査し、これまで得られたデータとの関連を見出すと同時に、これまで未調査・未分析で重要と考えられる内容を検証し、可能な範囲で現地調査(コロナウイルスの状況による)や、追加のアンケート調査を準備し、適宜、実施する。
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