研究課題/領域番号 |
18K04520
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
佐々木 健 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (50787661)
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研究分担者 |
勝又 英明 東京都市大学, 理工学部, 教授 (00257106) [辞退]
小見 康夫 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (70409374)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神社社殿 / 使用期間 / 建替理由 / 修理履歴 / 価値保存 |
研究実績の概要 |
令和4年度(繰り越し申請)は、令和3年度(中国九州近畿東北地方)の神社調査に続き、下記に示す関東(埼玉千葉茨城栃木群馬)、中部(長野新潟岐阜山梨)、北陸(富山石川福井)地方の神社へ現地調査を中心に研究を実施した。この結果、社殿を構成する建物の複雑で多岐にわたる形式の検証や建物の劣化、維持修繕の状況など現地でなければ得られない情報を入手した。 1.2022年8月19日:千葉県中部(木更津、茂原)、南部(館山、鴨川)の14社 2.2022年8月28、29日:千葉県東・北部(千葉、銚子)の18社、茨城県(霞ヶ浦、水戸、大洗、笠間)の17社 3.2022年9月10、11、12日:東京都北部(葛飾区)の3社、埼玉県(三郷、子鹿野、秩父)の4社、茨城県(常総、常陸太田、北茨城、大子町)の12社、栃木県(那珂川、大田原、那須塩原、佐野、栃木、鹿沼、下野、佐野)の24社、福島県(いわき)の6社、群馬県(桐生、前橋、伊勢崎、藤岡、高崎)の8社 4.2022年10月15、16、17、18日:長野県(中野)の4社、新潟県(糸魚川)の3社、富山県(滑川、富山、高岡、南砺、射水、氷見)の19社、石川県(七尾、輪島、羽咋、かほく、金沢、白山、小松、加賀)の24社、福井県(あわら、坂井、福井、永平寺町、勝山)の15社、岐阜県(郡上、美濃)の5社 5.2022年11月19、20、21、22日:埼玉県(桶川、鴻巣、深谷)の5社、群馬県(伊勢崎、高崎、富岡)の6社、長野県(上田、千曲、長野、安曇野、岡谷、塩尻、木曽、飯田、諏訪)の12社、岐阜県(高山、中津川)の6社、山梨県(甲府、山梨、笛吹、甲州)の8社
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年(初年)度は東北・関東・中部地方の神社データベース(42,723件)に対し、4,469件に送付し有効回答932件(20.9%)を得た。令和元年(2年目)度は、北海道・近畿・中国・四国・九州の神社データベース(31,351件)に対し、3,571件に送付し有効回答682件(20.9%)を得た。宮司の居住する可能性が高いと考えられる神社を抽出したものの返戻数も636件(14.2%)・698件(19.5%)あり住職が居住する寺院の調査と比較し居住者のない神社は郵便を受け取れない事例が多い。ここまでは当初の想定よりも早く研究は進捗した。 ところが研究を進める中で、社殿の組み合わせや形式と、地域性や各神社本殿で祀られる祭神との関係、返戻郵便の多い地域(過疎)など、未だ明らかにできていない研究課題も見えてきた。令和2年度(3年目)は、コロナウイルス感染拡大を受け建築学会も中止となり、発表の機会も制約を受けた。主に文献調査やデータ整理を中心とした。神社の形式に関連する文献を精査し入手データとの関連を見出すと同時に、これまで未調査・未分析でありながら、重要と考えられる内容を検証し、可能な範囲で現地調査(新潟・長野・福島)を行い、アンケートで未回答箇所の検証を行うなど現地でなければ得られない貴重な情報を入手することとした。 令和3年(2021)度(4年目)と、令和4年度(繰り越し申請)では引き続きコロナ感染の影響はあったものの、人との接触を避けられる乗用車の利用により全国の神社へ現地調査を中心に研究を実施した。令和3年度は中国・九州・近畿・東北地方へ、令和4年度は関東・中部・北陸地方の神社を調査した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で四国地方(全県)や近畿(京都府・奈良県の過半)、東北(青森、岩手)、中部(静岡、愛知)、北海道の過半など、一部地域の現地調査は未完だが、残る研究予算も限られる中、可能な範囲で最終年(令和5年)度に実施予定である。一方、研究テーマである「国の文化財に指定されない全国社殿の寿命推定と維持保全手法に関する研究」を明らかにする為には、所有者や管理者への維持保全、修理履歴、保存に関する追加調査が必要であることを認識していた。コロナウイルス感染も落ち着きを見せた今年度は、地域を限定した調査による、神社の維持保全の実態をアンケート調査と現地調査、ヒアリング調査を交えて実施する計画とした。なお、限られた予算で現地調査を実施する為に、大学から近隣にある神奈川県の神社(修理や維持が保障された指定文化財を除く近世社殿)を対象とした。ここで、全国の神社へのアンケートによる一次調査で回答を得られた神奈川県の神社は全体の一部(神奈川県の全神社1,236件に対して40件)である為、調査対象を文献(神奈川県の近世社寺建築・本文編1993など)から絞り込み、まずはアンケート調査を行い、回答を得られた神社へ現地調査(ヒアリング、劣化、修理履歴・文化的価値)を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究テーマである「国の文化財に指定されない全国社殿の寿命推定と維持保全手法に関する研究」を明らかにする為には、所有者や管理者への維持保全、修理履歴、保存に関する追加調査が必要であることを認識していた。 限られた予算で現地調査を実施する為に、大学から近隣にある神奈川県の神社(修理や維持が保障された指定文化財を除く近世社殿)を対象とし地域を限定した調査による、神社の維持保全の実態をアンケート調査と現地調査、ヒアリング調査を交えて実施する計画とした為、次年度使用が生じた。
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