研究課題/領域番号 |
18K04521
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
服部 圭郎 龍谷大学, 政策学部, 教授 (90366906)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 縮小都市 / シュタットウンバウ・オスト / シュタットウンバウ / 人口縮小 / 社会減 / 旧東ドイツ |
研究実績の概要 |
シュタットウンバウ・オストのプログラムの評価に関しては、連邦政府、コットブス市、さらにドイツのシンクタンクの担当者に取材をすると同時に、連邦政府、一部自治体の報告書を入手し、それらを整理している。特にコットブス市については詳細のデータを入手しているので、それらについて論文を執筆中である。シュタットウンバウ・プログラムの強みは、縮小という現象をしっかりと理解しようとする姿勢を自治体にもたらせたこと。逆に弱みは市民参加である。市民参加を十分に経ずして、縮小プログラムを作成した自治体が多く、それが結果として人々の不満を募らせてしまったケースもある。また、周縁部を倒壊する事業であるが、その結果、都心部の活力が回復したという場合が多い。総合的にはプラスの評価が為されている。ただ、その成果は自治体によってバラバラではあり、その要因等については、さらに残りの期間で研究を積みかさねることが必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現状の縮小都市に関して、ライプツィヒ等にて情報収集を行った。そこで、シュタットウンバウ・オストのプログラムの効果に関しても数名へヒアリング調査を行う。最近のドイツの縮小動向は、地方から中核都市への人口流出という社会減の人口減少に加え、自然減での人口減少も進展している。そのような自然減に対しては、シュタットウンバウ・オストのプログラムはあまり効果が少ないのではないかとの仮説が立てられる。すなわち、社会減に関しては、その流出都市、流出地区の魅力を創出し、それを抑制することが期待できるが、自然減に対しては、その効果が極めて限定的なものになるということである。 このような仮説の検証をするためにも、社会減・自然減という対立軸で人口減少を分析することの必要性を感じ、これはドイツではなく日本ではあるが、日本の2万人~8万人の中小都市における社会減の動向を分析する論文を英語でまとめ、フランスでの国際学会にて提出し、無事、レフリーが通り、2020年11月に発表する予定である。 それと同時に、日本の社会減を相対的に抑えられている自治体(金沢市、弘前市、長門市、神山町など)なども取材調査を行い、それに関する知見を広め、学会に発表する原稿を共著ではあるが執筆中である。 一方で、コロナウィルスによって2020年3月に予定していた現地調査に行くことができず、また、コットブスのシュタットウンバウ・オストのプログラムに関する論文をまとめる差魚うをしていたが、それに関してはまだ未完成の状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
上記で述べたように現地調査を行えていないので、補える部分は文献調査などをし、補えない部分は、できれば今年度に現地調査を遂行したいと考えている。また、現地での研究者との協力のもとに、当初の企画通り、自治体へのアンケート調査をWEB上で行いたいと考えている。近年は地方中核都市レベルでの人口減少が経済の好況とともに減ってきたが、今回のコロナウィルスの動向がどのような新しい動きをもたらしているのか。その新しい動きと、新たなる縮小対策プログラムであるシュタットウンバウ・プログラムがどの程度、影響を有しているのか、なども調べたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスによって計画していた現地調査が行けなかったことが最も、大きな使用額と使用計画の乖離の理由である。この現地調査に関しては2020年度に遂行することで、遅れを取り戻したいと考える。
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