研究課題/領域番号 |
18K04528
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
下倉 玲子 呉工業高等専門学校, 建築学分野, 准教授 (50510442)
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研究分担者 |
柳澤 要 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (20311615)
佐々木 伸子 福山大学, 工学部, 准教授 (90259937)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 特別支援空間 / 自閉症児 / カームダウンスペース / インクルーシブ |
研究実績の概要 |
初年度は日本の特別支援学校視察や自治体のインクルーシブ教育体制のヒアリングなどを行い、日本における特別支援教育の全体像を把握した。自治体で子どもの就学先の枠組みをしっかり作っている千葉市、学校の裁量に任せ保護者の意向を重要視している大阪市など、自治体ごとに特色がみられた。このように特別支援の在り方は一つではなく、特別支援学校から普通学校まで、その間に特別支援学級や通級指導教室があり、様々な教育の場を用意しておくことが重要である。 さらに、イギリスの特別支援学校を1週間かけて訪問し、自閉症児や知的障害者が落ち着くための空間に着目して研究分析を行った。日本においては教室以外の空間は職業訓練教室以外はあまりないが、イギリスにおいてはカームルーム、ソフトプレイルーム、センサリールームなど、子どもが落ち着くための空間を校舎内に用意している。また教室と外部空間の接続についても、大きな関心事としてある。教室との行き来があるカームルームなどは、教室の近くに設置するなど、教室との関連で落ち着くための空間が整備されていることを明らかにした。また学齢によって適切な外部空間や落ち着くための部屋の配置計画が異なることを知見として示した。 2年目はドイツの特別支援学校とインクルーシブ先進校の普通学校を訪問し、イギリスや日本との比較を行った。空間的配慮に着目すれば、イギリスと日本の中間にあたり、やや伝統的な計画手法と言える。 3年目は、これまでの内容をまとめ、海外雑誌に投稿して受理された。現在は、JAABEというインターナショナルジャーナルに投稿するために編集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目にスウェーデンのインクルーシブ先進校(普通学校)に訪問するスケジュールを組んでいたが、コロナ禍のため延期が続いている。このため、普通学校において、自閉症児を含む発達障害児に配慮した空間整備に関する分析は、日本を対象とした事例だけで行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は延長した最終年にあたるため、海外査読論文の投稿・採用を目指す。また、日本の特別支援学校や普通学校における特別支援空間は、調査したイギリスに比べるとかなり計画的工夫が乏しいため、計画のヒントとなる内容を分かりやすい状態でまとめて、日本の特別支援空間をよりよくするために啓蒙していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は2019年度に行く予定であったスウェーデンの調査を行う予定であったが、コロナ禍で、それもまた延期となってしまった。そのためその分の旅費に当てていた予算が浮いている状態である。しかし、今年度も海外調査は難しいことが予想されるために、国内調査補強やこれまでの成果の報告に費用を費やす予定である。
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