本研究は、番匠谷堯二を嚆矢とする日本人計画家の中東・北アフリカ地域における業績を、協働し影響を与え合ったキャンディリス、アニング、エコシャールら多くのフランス人・アラブ人カウンターパートとの関連も踏まえて解明したものである。特に、清家清に起源をもつ「進化型計画論」の展開について、ATBAT(フランス語圏)における国際交流を背景として明らかにしたうえで、アルジェ、ベイルート、ダマスカス、アレッポにおけるその具体的な実施状況を明らかにした。ヘレニズム基盤を躯体とし、イスラーム期における住民主体の増築に基づく空間形成は、一つの「進化」とみなしうることが仮説的に示唆された。
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