研究課題/領域番号 |
18K04531
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
服部 佐智子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特別研究員 (20614126)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大名屋敷 / 奥向 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで申請者が取り組んできた江戸城本丸御殿大奥(以後、大奥と表記)や加賀藩の大名屋敷の女性の空間における住宅史研究をより深化させ、大名屋敷の奥向にみられる空間構成について、部屋構成、設備空間、室内意匠、使用実態を包括的に捉えることで、大名屋敷の奥向における空間構成の原理を明らかにすることを目的としている。 具体的には、近世上層武家住宅における女性の生活空間として、将軍から降嫁があった藩、なかった藩の奥向をそれぞれ取り上げ、大奥や御三家、御三卿、加賀藩の奥向に関するこれまでの研究成果を踏まえた上で、新たに史料調査で収集した各種絵図史料や文献資料を基に、分析を行っている。 本年度は、尾張藩江戸上屋敷奥向の記述史料、各種絵図史料について、名古屋市蓬左文庫、愛知県立図書館、名古屋市鶴舞中央図書館等で史料の閲覧、写真撮影もしくは史料所蔵機関で撮影済みのマイクロフィルムの複写依頼による史料収集を実施した。薩摩藩江戸上屋敷敷奥向の各種絵図史料や文献史料について、東京大学史料編纂所などで史料の閲覧、史料所蔵機関で撮影済みのマイクロフィルムの複写依頼による史料収集を実施した。さらに補足の史料収集として国許の絵図史料についても史料収集を実施した。次年度以降の調査のために、近世日本建築史研究者との研究交流、意見交換を行うとともに、次年度以降の史料調査をスムーズに実行するために、薩摩藩・仙台藩江戸上屋敷奥向の各種絵図史料、文献史料について、全体把握を行った。 それぞれの江戸上屋敷奥向に関する記述史料、絵図を読み解き、それぞれの江戸上屋敷奥向の平面構成の違いに繋がる原理を見出すために、部屋構成、設備空間、室内意匠、使用実態を総合して考察し、上層武家住宅の女性の生活空間の特質について検討している。上記の研究成果の一部は、2018年度日本建築学会大会等において報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に追加の史料収集を予定しているものの、当初の研究目的・研究実施計画に従って順調に研究を遂行し,研究成果を公にすることができているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,研究実施計画に従って研究を進める。今のところ,研究計画の変更の必要や研究遂行上の大きな課題は生じていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
仙台藩江戸上屋敷奥向の史料収集のため、今年度以上に旅費及び複写代金が掛かると予想される。計画を変更し、未使用額が生じた。このため、史料収集調査を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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