研究実績の概要 |
2021年度は、村野藤吾の広島世界平和記念聖堂およびサビエルホール、芦原義信の駒沢オリンピック公園体育館、芦原義信の武蔵野美術大学アトリエ棟、吉阪隆正のヴェニス・ビエンナーレ日本館、坂倉準三の神奈川県立近代美術館などの設計過程研究を遂行し、これらについては論文の取りまとめをおこなっているところである。ほかにアルヴァ・アアルトなどの海外の建築家の資料入手についても引き続き交渉・手続き中である。 発表論文により、建築の設計過程の図的分析方法について明確にすることができたと考えている。また、各建築家・各作品において、空間構成と構造計画が並行して進むという実践的事実を、証拠に基づいてはっきりと示したことは、構造計画に対する無視が散見される大学における設計教育に、具体的な反省を迫るものであったと考えている。このことをさらに明確に示すため、研究目的に記した通り、大学課程の設計製図教科書:「建築デザインの構造と造形」の改訂に具体的に取り組んでおり、現在出版社と内容協議中となっている。名城大学・千葉大学など、他大学からの意見やフィードバックを十分取り入れるべく、改訂原稿の執筆に着手するところである。 富岡義人, 田端千夏子, 男鹿智哉: 吉阪隆正のヴェニス・ビエンナーレ日本館の設計過程 国立近現代建築資料館所蔵の設計スケッチ・図面の分析を通じた形態操作の再構成, 日本建築学会計画系論文集, 第87巻, 第799号, 2022.9(採用・掲載決定) ほか口頭発表3件、このほかに4月現在で学術論文1編査読中。口頭発表2編投稿中。
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