江戸時代に京都大工頭を世襲した中井家所蔵の重要文化財「大工頭中井家関係資料」の指図・絵図類に数寄屋関係の資料が含まれており,45点の「茶室起こし絵図」がある。中井家本「茶室起こし絵図」は,①京都大工頭の中井家に伝来すること,②一部は製作年代や注文者が判明すること,③中井役所の棟梁衆が起こし絵図の製作に関与していること,④現地調査をした野帳が一部残っていること,⑤中井家の当主は茶人として名を残していること,⑥近年の保存修理によって製作技術を示すデータが蓄積されていることなど,他の茶室起こし絵図と比べると来歴が明確で貴重な資料であることが分かり,大阪市立住まいのミュージアムの展覧会で公開した。
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