研究課題/領域番号 |
18K04544
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕久 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (20183006)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 春日大社 / 社家町 / 祢宜 / 藤間家住宅 |
研究実績の概要 |
本研究は、2017年2月から保存活用プロジェクトに協力している春日大社の社家(祢宜)・ 藤間家住宅(奈良市高畑町)の屋敷構・建築遺構調査と同家に所蔵される「藤間家史料」(新出) に基づく総合的分析を研究の基本として、春日大社社家町の空間構造の具体的復原を試みることを第一の目的としている。 本年度は、①藤間家住宅の詳細な実測調査および痕跡・復原調査を実施し、建設年代と当初建物の復原および増改築過程を解明した。当初建物については、架構模型を作成して考察した。また、これらの研究成果の一部を春日大社での講演会および日本建築学会関東支部研究報告において発表した。②現在まで文書整理が進められた藤間家史料(「検地改帳」ほか)など古文書類の閲覧と写真撮影を行ない、文献史資料による分析作業を開始した。③本年度の実測調査の成果をもとに藤間家表門および主屋の国登録有形文化財(建造物)の申請(奈良市)の図面と所見を作成した。④他地域の社家町および社家住宅との比較のために、今回は、福岡県福岡市の筥崎宮の社家町の歴史的町並を現地で視察するとともに、筥崎宮へのヒアリング調査および旧地籍図等の基本史料の収集を実施した。⑤中世の油神人によって形成された大山崎および保存整備のすすむ上賀茂の社家町の歴史的町並について現状を視察した。 以上、①~⑤を通じて、主題である春日大社社家町および社家住宅についての調査研究の深化と他地域の社家町との比較考察を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実測調査には、まだ補足の必要があるが、18世紀に遡る春日大社の社家(祢宜)住宅の建築的特質の一端は、十分に解明されたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
社家町の全体像については、今後も現地での調査研究や文献史資料の分析を深めていく必要がある。また、比較すべき他地域の社家町についても対象を広げていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた藤間家住宅の実測調査は概ね順調に実施できたが、社家町全体の町並調査には、引き続き地域の協力を要請する必要もあり、また膨大な藤間家史料の整理に時間を用しており、本格的な史料調査も、次年度以降に実施することとした。そのため、調査費用の一部を次年度に繰り越した。
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