研究課題/領域番号 |
18K04544
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕久 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (20183006)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 春日大社 / 社家町 / 祢宜 / 藤間家住宅 / 居住形態 / 窪八幡神社 / 領域構造 / 町並景観 |
研究実績の概要 |
本年度は、2年間に亘って収集した実測・史資料調査データの分析が完了したことから、本研究の主テーマである春日大社社家町の町並形成プロセスおよび18世紀に遡る貴重な旧祢宜の住宅建築遺構であることが判明した藤間家住宅の建築構成に関する調査研究成果をまとめ、審査付論文集である『日本建築学会計画系論文集』に、著者:伊藤裕久・濱定史・小見山慧子・山崎美樹、題目:近世における春日大社社家町の変容過程と居住形態に関する研究-江戸時代における高畑の町並変遷と旧祢宜・藤間家住宅の建築的分析-、として論文を投稿し、同論文集の第774号、2020年8月刊に採用・掲載された。 併せて、昨年度に実施予定であったが研究代表者の体調不良(入院・手術)で今年度に延期した出雲大社の社家町・門前町である杵築に関する現地でのフィールド調査は、度重なるコロナ感染の拡大で現地滞在の予定が立たず、今しばらく見送る結果となってしまった。 その代替として、比較対象とする社家町の事例を広げることを考え、かつて史資料および建築遺構調査を実施(研究成果の一部は『山梨市史』に既発表)した山梨県山梨市の窪八幡神社を中心とした社家町・門前町の空間構成について再検討を加えた。その結果、神社境内周辺だけでなく、笛吹川を挟んだ対岸に分散的に居住した神人・芸能集団の存在や市場集落である「後屋敷」の形成など、広域に分散しながらネットワークされる「都市的な場」としての領域構造が確認された。その他、埼玉県さいたま市の大宮氷川神社の社家町など、関東地方を中心に幾つかの社家町について基本的な史料を収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究概要の実績で記したように、本研究の中心テーマのひとつであった春日大社の社家町の町並形成プロセスと藤間家住宅(国登録有形文化財建造物)の復原研究については、『日本建築学会計画系論文集』の掲載で一応の研究成果を公開できたと考えている。しかし、昨年度の体調不良から、本年度に延期した出雲大社の社家町・門前町である杵築での現地でのフィールド調査、および一部遺された奈良での史料調査については、コロナ感染の拡大で、予定の調整ができず本年度も実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度もコロナ感染の拡大で中止せざるを得なかった出雲大社社家町・門前町の杵築における現地フィールド調査については、今年度は、感染対策を取りながらなんとか実現させ、すでに発表している史料による復原考察と合わせてまとめる方向を考えている。また、伊勢神宮の門前町である伊勢では、本年度、御師制度廃止150年記念「伊勢の御師フォーラム2021」が企画され講演を依頼されていることから、伊勢の再検討と春日や出雲との比較検討を主眼に研究を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた本格的な奈良県(春日大社)、島根県(出雲大社)の現地調査は、コロナ感染拡大で実施を断念せざるを得なかった。次年度はコロナ感染状況を見据えながら、実施可能な方法で現地でのフィールド調査を実施することとし、旅費としての支出を考えている。
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