研究課題/領域番号 |
18K04544
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕久 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (20183006)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 春日大社 / 出雲大社 / 伊勢神宮 / 備前吉備津彦神社 / 備中吉備津神社 / 備後吉備津神社 / 門前町 / 社家町 |
研究実績の概要 |
本年度もコロナ感染の拡大によって、現地での調査が可能な期間が限定されていたため、まず御師制度廃止150周年記念伊勢の御師フォーラム2021の講演依頼を受け『都市構造からみる巡礼都市「宇治・山田」のまちづくり』というテーマでオンライン形式(会場:伊勢商工会議所)の報告を実施した。その際には春日大社と伊勢神宮門前の社家・御師屋敷の比較についても検討している。 また11月・12月は感染状況が沈静化し移動が容易になったことから、奈良町史料館に寄託されている大宮家文書「奈良惣町中御改帳」」の原本を複写させていただいた。本史料では奈良町における春日大社社家・祢宜屋敷の町別軒数や持家・借家数等を確認できた。 さらに春日大社・出雲大社の社家町・門前町との比較事例として、備前吉備津彦神社・備中吉備津神社(岡山県)および備後吉備津神社(広島県)において神社境内と門前町に現存している社家屋敷さらに歴史的町並全体について現地調査を実施し特徴をマッピングした。 同時に現存する境内絵図や検地帳などの文献史料によって社家屋敷の分布について復原を試みた。その結果、三つの吉備津(彦)神社を核とした門前町の空間構成と社家屋敷の分布には共通点と相違点がみられ、とくに備後吉備津神社古図では、「町(市)場社家」の存在がわかることが注目された。これらの比較については今後分析を進め成果をまとめたい。 最後に出雲大社の門前町・杵築に関する悉皆的な現地調査については、コロナ再感染拡大となったため実施は2022年度に延期することとした。代わりに予備調査(現地での写真撮影)で蒐集した史料群の分析に基づき、日本建築学会計画系論文集に「中世末から近世初における出雲大社門前町・杵築の空間構成と屋敷形態に関する考察」を投稿(2022年9月号掲載予定)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の中心テーマであった春日大社社家町の町並形成プロセスと藤間家住宅(国登録有形文化財建造物)の復原研究について昨年度『日本建築学会計画系論文集』に掲載。また出雲大社門前の杵築についても本年度『日本建築学会計画系論文集』に投稿して2022年度に掲載決定したことから一応の研究成果を公開できたと考えている。 さらに伊勢神宮、窪八幡神社、吉備津神社の社家・門前町などとの比較研究も進めているが、コロナ感染再拡大の影響で現地調査を自粛していたことが要因で、まとめるためには、まだ幾つかの現地調査が必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
一昨年度、昨年度とコロナ感染の拡大で中止せざるを得なかった、出雲大社社家町・門前町の杵築における悉皆的な現地フィールド調査については、今年度、感染対策を取りながら なんとか実現させ、必要に応じてこれまでの対象とした地域についても補足調査を行い、全体をまとめることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の再拡大によって、予定していた実測調査の実施を延期したために次年度使用額が発生しました。
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