研究課題/領域番号 |
18K04545
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
松本 剣志郎 法政大学, 文学部, 准教授 (80468719)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 上水組合 / 玉川兄弟 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウィルス(COVID-19)の蔓延により、予定していた史料保存機関への調査はすべて中止をよぎなくされた。緊急事態宣言中(1回目)は研究室に赴くこともできず、研究は長期間にわたり中断せざるをえなかった。宣言解除後も、密となる研究室では、院生アルバイトによる作業はさせられなかった。アルバイトには、かろうじて在宅でいくらかの史料の解読作業に従事してもらうことができたにとどまる。 コロナ禍のなかで実施しえたのは、昨年度までに得られた史料の分析である。例えば毛利家文庫(山口県立文書館蔵)の公儀事から、江戸の上水組合についていくつかの知見が得られた。「玉川兄弟」として一般にも有名な、玉川家の関与が、樋筋の普請においても確認された。史料は、元文4年(1739)に玉川兄弟が罷免される直前のものである。都市インフラの支配の変更が、インフラ維持管理に与える影響を考える手がかりとなりそうである。 今後の研究は、コロナ次第のところもあるが、史料保存機関への調査を実施できれば、江戸と京都のインフラ維持管理に関する比較を試みたいと考えている。 なお成果の発表の場として考えていた首都圏形成史研究会・関東近世史研究会合同例会はコロナにより延期されたが、2022年3月の実施に向けて動いている(オンラインの可能性もある)。これは一般市民への公開も予定されている。研究期間を1年延長していただいたので、そこで成果の一部を報告できるようにしたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス(COVID-19)の蔓延により、予定していた史資料保存機関への調査はすべて取り止めざるを得なかった。非常事態宣言中(1回目)には、大学に赴くことすらできなかった。アルバイトによる研究室での作業もできなかった。その後も現在に至るまで、密となる研究室でのアルバイトによる作業はできていない。研究代表者による研究も、新たにはじまったオンライン授業への対応などにより十分には実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年4月25日現在、東京ほかに緊急事態宣言が発令されており、今後の史資料保存機関への調査出張が可能であるのか否か、判断は難しい。可能な状況が一時的にでも訪れれば、昨年来、調査を希望している群馬県立文書館および京都府立京都学・歴彩館へ赴きたい。そこでの史料が得られれば、江戸におけるインフラ維持管理、および京都におけるそれとの比較がある程度できるのではないかと思われる。 調査出張が不可能な場合、現在すでに取得している史料で分析をすすめるほかない。この場合、江戸におけるインフラ維持管理組合の具体的事例を詳細に明らかとするように努め、拙著(『江戸の都市化と公共空間』塙書房、2019年)を補い、さらに発展させた成果を提示したいと思う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス(COVID-19)の蔓延により、調査出張をまったく実施できなかった。また学内への入構制限、および主たる作業場である研究室の換気機能不十分により、院生アルバイトによる作業がほとんどできなかった。 今後、新型コロナウィルスの感染状況をみながら、可能な限りで調査出張を実施したい。
|