道路や橋梁、上下水などのインフラが、近世都市においてどのように維持管理されていたか。近代国家は租税負担を導入したが、それ以前はどのようなシステムであったのか。日本各地の博物館等に所蔵される古文書から関係史料を収集し分析した。多数のインフラ維持管理組合の存在を明らかにすることができた。あわせて江戸から東京への移行期における維持管理の様相を具体的に明らかにすることができた。江戸ではインフラ維持管理に大名家への依存傾向があったが、東京ではそれが不可能になった。公平な負担にむけた制度整備が要請された一方で、豪商(後に財閥)による近代都市計画事業への参入がみられた。
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