研究課題/領域番号 |
18K04548
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研究機関 | 沖縄大学 |
研究代表者 |
小野 啓子 沖縄大学, 経法商学部, 教授 (50369211)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハワイ / 糖業プランテーション / 日本人移民 / 太平洋島嶼地域の近代化 |
研究実績の概要 |
本研究は、ハワイ・マウイ島を対象として、糖業プランテーションタウンの正確なベースマップを作成し、これまで収集した各種情報 (製糖会社史料、建物用途図、日本人移民に関する文献、写真、聞き取り、統計等)を地図上で統合することで、ハワイの糖業プランテーションタウンを総合的に分析することを目的としている。ハワイの糖業プランテーションは19世紀末から20世紀初頭にかけて生産を大幅に拡大し、大規模なプランテーションでは数千人の労働者が暮らす独自の都市的空間を作り出した(日本人移民が最大のグループ)。1920-30年代には多くの宿舎が庭付きの戸建て住宅に建て替えられ、学校や病院、宗教施設、商店、娯楽施設を持つ糖業プランテーションタウンとして興隆する。明治期、日本が台湾で建設した糖業プランテーションがモデルとしたのは20世紀初頭のハワイである。しかし、ハワイでの糖業プランテーションタウンを都市的空間として分析した研究はなく、本研究はその空白を埋める研究として位置付けられる。 初年度に米国公文書館所蔵の航空写真を調査し、1940年代のマウイ島の糖業プランテーションタウンの航空写真を入手した。同時にオアフ島、ハワイ島の糖業プランテーションの航空写真についても調査を行い、航空写真を入手することができた。1920~1940年代の地形図をベースにしながら、マウイ島のプーネネに加え、オアフ島のエワ、ワイパフ、アイエア、ハワイ島のホノムの5カ所について、4千分の1の縮尺の べースマップを作成した。これらの地図をベースマップとして、地図(空間=ハード)上に各種資料と聞き取り結果(生活文化=ソフト)を統合して空間化することにより、ハードとソフトが一体となった生活の場としての糖業プランテーションの姿を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初はマウイ島のみを対象とする予定であったが、米国公文書館所蔵資料の調査でオアフ島を代表する糖業プランテーションタウンであるエワ、ワイパフ、アイエア、また研究代表者らが以前より資料を収集してきたハワイ島ホノムの糖業プランテーションタウンについても1940年代の良質な航空写真を入手することができ、これらについても地図作成を行った。 また、令和1年度に実施したハワイでの現地調査では、資料収集および研究者聞き取りを行った。また、1910年代の各糖業プランテーションの日本人居住の状況、糖業プランテーションからホノルルに出る日本人が増え、日本人街が形成されつつあった1910年代以降のホノルル市街地についても資料を確認することができた。 令和2年度はコロナ禍のため、予定していた日系人聞き取り調査は実施することができなかった。ハワイの糖業開発を巡る状況について整理しつつ、地図化した各プランテーションについて、建物用途や生活空間の状況などの情報を重ねる作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに入手したデータ及び資料をとりまとめ論文「ハワイにおける糖業プランテーションタウンの都市空間に関する研究」を執筆する。令和2年度の後半、コロナ禍の状況が改善すれば、日系人聞き取りの補足調査を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において予定していた補足調査を行うことができなかった。今後状況が改善すれば現地調査を実施したい。
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