研究課題/領域番号 |
18K04551
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
相模 誓雄 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (20295405)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蔵 / 屋敷 / 空間構成 / 建築史 / 日本史 |
研究実績の概要 |
第一に、熊本県において熊本藩、人吉藩の御蔵所に関する建築遺構、史料、文献調査を行った。熊本藩御蔵所に関しては、熊本市観光文化交流局文化振興課文化財管理班や宇土市教育委員会の協力を得て、旧川尻東蔵及び西蔵、旧宇土御蔵の遺構調査を行った。熊本県立図書館、熊本大学図書館(永青文庫)、玉名市立歴史博物館、八代市立博物館において史料調査を行った。熊本藩御蔵所については、上記の遺構に加えて永青文庫や松井文庫などに御蔵が描かれる史料が現存し、9ヶ所の御蔵所の実態が知られた。一方、人吉藩御蔵所に関する史料は殆ど確認できなかった。 第二に、大分県において熊本藩、中津藩、臼杵藩などの御蔵所に関する史料、文献調査を行った。熊本藩の鶴崎御蔵所に関しては、個人宅において史料調査、大分県立図書館において文献調査を行った。臼杵藩御蔵所に関しては、臼杵市所蔵絵図史料群のデータ貸出を受け、臼杵市立図書館において史料調査を行った。「天保七年八月総役所米倉普請の図」は、工事中の御蔵が詳細に描かれる大変珍しい史料であった。その他の絵図や記録文献からも御蔵所の実態が知られた。なお、岡藩犬飼御蔵所、日出藩日出城御蔵所に関する絵図史料が各1点確認できた。一方、中津藩御蔵所に関する史料は殆ど確認できなかった。 以上の成果から熊本藩御蔵所に関する研究論文を作成した。初編は御蔵所の空間構成の特徴と形成要因、続編は御蔵の建築構成の特徴である。さらに、臼杵藩御蔵所に関する研究論文を作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
熊本県熊本市や宇土市において大変貴重な御蔵の遺構を調査し、復元図を作製することができた。また、永青文庫や松井文庫の重要史料の調査を行うことができた。夏場をまたぐ研究調査であり、熊本地震の余波、北九州地方の豪雨、猛暑や台風もあったが、幸い本研究に及ぼす影響は少なかった。熊本県内における調査は殆ど完了している。熊本藩御蔵所は大分県内にも1ヶ所存在したので(鶴崎御蔵所)、大分県での調査も必要になった。これに関連して、平成32年度(令和2年度)に行う予定であった中津藩などの御蔵所に関する文献調査を行うことができた。その結果、臼杵藩洲崎御蔵所といった特異な御蔵所を発見することもできた。 以上のことから、研究は当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も予定通り研究を進める。 令和元年度は、福岡県及び佐賀県において柳川藩、小倉藩、蓮池藩の御蔵所について文献、史料、建築遺構調査を行う。すでに、関係機関に調査の依頼を行い、了承を得ている。また、両県内に存在した他藩についても御蔵所の実態が知られる史料の有無の確認を行う予定である(以後、「確認調査」と記す)。なお、インターネットを用いた事前調査では、史料は確認できていない。 令和2年度の確認調査については、平成30年度に大分県内が完了したので、九州地方(宮崎、鹿児島)、四国地方(香川、高知)、中国地方(山口)の各県立図書館において行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年5月発行の論文(10頁)の掲載料として11万円必要です。加えて、史料掲載許可者へお送りする論文の抜き刷り代数万円がかかります。さらに、現在審査中の論文及び投稿予定の論文が採用された場合の掲載料が必要になるためです。審査中の論文については、先の論文の続編になるため、一度に投稿できません。掲載料は、原稿が9頁ですので9万5千円になります。投稿予定の論文については8頁を予定しています。これも先の論文を引用しております。
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