エタノール/LOXを推進剤とするスポーク型とスリット型のピントル型噴射器を用いたロケットエンジンモデル燃焼器を使用し,噴射器パラメータが燃焼不安定性の発生やC*効率に及ぼす影響を実験的に調べた. LOxのウェーバー数を変化させC*効率に及ぼす影響を調べた.また,非燃焼試験ではピントル型インジェクタを用いて水と水を衝突させ,運動量比が変化したときの噴霧挙動を詳細に観察した.燃焼試験においては,基本的にLOxのウェーバー数の増大と共にC*効率が改善された.非燃焼試験で噴霧挙動を観察すると,ウェーバー数の増加が噴霧を不安定化し,微粒化を促進していることがわかった.また,LOxの噴射孔をスリット型とした場合のC*効率を比較すると,スポーク型による効率の増大は限定的であった.スリット型の非燃焼微粒化測定の結果,スポーク型の方が噴霧の三次元構造が複雑ではあるが,スリット型の方の液滴径が小さいことが観察された. データドリブン手法を応用し,圧力履歴にウェーブレット変換,高速度カメラで測定されたCH*化学発光画像に対してガボールフィルタを用いた動的モード分解(DMD)を実施し,周波数ベースの燃焼モードを同定することができた.ウェーブレット変換で得られるスペクトログラムはCH*のDMDで得られるものと同様であり,熱音響振動燃焼の遷移挙動を明確にした.カーネル法を用いL1正則化項を加えたスパース推定手法を組み合わせたスパースカーネルDMDにより,振動燃焼が励起されるメカニズムを明らかにした.観察される弱い縦モードを除いた正の成長率を持ついくつかのモードを用いて,再構成を行ったところ縦モードの第二高調波および第三高調波に似た構造が観察された.いくつかの不安定モードが成長し,干渉することで高次振動モードに近い状態を再現し,縦モードを励起したと考えられる.
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