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2019 年度 実施状況報告書

宇宙大型膜面上の通信システム構築を目指した電波-構造同時最適設計手法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K04562
研究機関首都大学東京

研究代表者

鳥阪 綾子  首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (70449338)

研究分担者 宮下 朋之  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20329080)
山川 宏  早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (00097263)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード薄膜展開膜 / 平面アンテナの適応構造化 / SMP
研究実績の概要

これまで弾塑性の定式化を用いた薄膜フィルムの面内外変形は1次元での表現に留まっていたが,これを板要素に拡張して二次元化した.その際,皺や折り目の判断には張力場理論によるWrinkle Intensityを用いた定義を導入し,折り目の位置とWrinkle Intensityの関係性を調査した.皺を解消するために必要なエネルギーが折り目を境にした2つの領域で等しくなる時に皺を最も減らすことができる事を明らかにした.これは研究の柱である「膜・ブーム展開後の形状制度の保持を目指した膜面構造に関する設計」の部分の成果として挙げられる.上述の条件を満足するように膜面システムを配置していくという設計指針を得た事になる.またもう一つの研究の柱である「複合的大型宇宙膜面構造物の設計法の提案」として,パネル構造である形状遷移型の観測衛星の最新形態に対し,マイクロ波の反射による全体ビームパターンの影響を調査した.実際の宇宙ミッションに,これまで着目されてこなかった構造―電波の相互作用に関する知見を与える事ができたという点は評価のできるポイントであると考える.また,このような構造が薄型化していく事を考えた時に,パッチアンテナの誘電体が質量のほとんどを占めるために,この部分の軽量化,および支持構造部である膜面の影響を受けにくくするためのアンテナじたいの適応構造化を考える必要性が浮上した.当初の予定ではなかったが最も質量を占める誘電体の軽量化と機能化を見据えたアンテナじたいの設計にフォーカスする必要性、および材料にも機能化を求めて国際連携による解決を模索するに至り,研究の幅を広げるという点で実りのある成果があったと考える.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はキーポイントとなる技術を、宇宙ミッションに適用していく中で、新しく考えるべき技術課題が浮き彫りになった.SMA+パッチアンテナによる電波特性および膜面構造特性の両立を目指す当初の予定とは異なるが,パッチアンテナじたいの電波―構造特性の両立を目指し,かつ当初はSMAに期待した適応構造性を,パッチアンテナじたいに取り込む事を考える方向性は全く無関係であるわけではない.これに取り組んだ上で,低周波数を対象とするSMAアンテナによるビーム成形性を考える事がアンテナ―構造の設計で踏むべき手順であると判断した.このように大型宇宙膜面構造の設計に関して必要となる技術に着実に取り組む筋道を得た事は歓迎すべき事であると考える.さらに国際専門家会議において,この潮流が見え始めている事と,関連の研究者たちとの議論によってこの必要性が認識されたことも,この研究の意義を固めるに足るものと考える.

今後の研究の推進方策

引き続き,構造変態およびワイヤレス通信による宇宙ミッションの多様性を実現するための軽量構造,つまり膜面の設計手法の確立を行う.次年度はアンテナじたいの誘電体配置問題と剛性配置問題の観点から構造特性およびアンテナ特性の同時最適設計の定式化を行う.また,SMPを用いる事によって適応構造化をはかる。さらにその製作手法の確立を行ったうえで解析および実験による比較検討を行う.

次年度使用額が生じた理由

誘電体であるSMPの高精細な成型のためにレーザー焼結型3Dプリンタが必要となったが,国内で説明に記載のある材料以外の持ち込みを許容する箇所が無かったため,独自に簡易型のものを輸入する必要性が生じた.本年度で購入手続きが間に合わなかったため,次年度に持ち越した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Development of shape monitoring system using SMA dipole antenna on a deployable membrane structure2019

    • 著者名/発表者名
      Torisaka A.、Hayashi D.、Kawasaki S.、Nishii N.、Terada Y.、Yokoyama S.、Sakamoto H.
    • 雑誌名

      Acta Astronautica

      巻: 160 ページ: 147~154

    • DOI

      10.1016/j.actaastro.2019.04.007

    • 査読あり
  • [学会発表] Optimization and demonstration of 3D self-assembly system of hierarchical modular space structure using electromagnet2020

    • 著者名/発表者名
      A.Torisaka, S.Hasegawa, S.Miura, V.Parque, T.Miyashita, H.Yamakawa, M.C.Natori
    • 学会等名
      The AIAA Science and Technology Forum and Exposition (Scitech2020)
    • 国際学会
  • [学会発表] 固体化マリンレーダに用いる民生用高出力GaN増幅器と宇宙ICETによるSpace-by-wirelessシステムの展開2020

    • 著者名/発表者名
      林 大介 、鳥阪 綾子 、宮城 祥吾 、吉田 巧 、山本 隆彦 、吉田 賢史 、西川 健二郎 、川﨑 繁男
    • 学会等名
      第20回宇宙科学シンポジウム
  • [学会発表] A Study of Angular Momentum Unloading Strategy of Reaction Wheel by Solar Radiation Pressure Using Membrane Structure2019

    • 著者名/発表者名
      Kazuki SAITO, Ayako TORISAKA , Victor PARQUE, Satoshi MIURA, Tomoyuki MIYASHITA
    • 学会等名
      ISSS 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] Runnability Improvement of the moon rover with leg-circle transformable wheel2019

    • 著者名/発表者名
      Ayako Torisaka, Kohei Eguchi, Satoshi Miura, Victor Parque, Tomoyuki Miyashita
    • 学会等名
      30th International Conference on Adaptive Structures and Technologies(ICAST2019)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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