研究課題/領域番号 |
18K04567
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 俊之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (20392839)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 傾斜機能型 / アブレータ / 熱防御システム |
研究実績の概要 |
本研究で提案している密度分布を有する傾斜機能型アブレータについて、ホットプレスを用いた製作工程を確立するとともに、試作したアブレータについて加熱試験を行うことによって耐熱基礎特性を取得した。 試作後のアブレータについて、削りと重量計測を反復することによって密度分布を評価した。これによると表面近傍の比重は約1.2であり、その後次第に比重が0.7まで低下していることがわかった。またバルクの比重としては0.8程度であることがわかった。以上を踏まえ、想定通りの密度分布を有する傾斜機能型アブレータが試作できたことがわかった。 有効密度 0.8 の試作品において、広い加熱環境において、同クラスの従来アブレータよりも摩耗率を 30~50% 低減できるポテンシャルが示された。見方を変えると、はやぶさアブレータと同等の損耗性能でありながら、重量を 40% 以上低減できるポテンシャルが示された。また加熱試験前後のアブレータ供試体についてX線CT検査を行った。15MW/m2以下の国内最大加熱率環境においても、過度な損耗や積層感剥離を生じることがないことを示した。 傾斜機能型アブレータのメーカ製造性の検討にあたって、製作手法をホットプレス法からオートクレーブ法に切り替える必要があることが判明した。オートクレーブ内の空冷システム、断熱材の配置、パネルヒーター等の検討を行うとともに、オートクレーブ稼働中に各所の温度計測を行うことによって密度勾配を持ったアブレータの製作を実現できるかについて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度予定していた傾斜機能型アブレータの試作を行い、国内最大加熱率レベルにおいて想定外な損耗や積層感剥離を生じることなく高い耐熱性能を実証した(フルサクセス)。また次年度以降に予定していたオートクレーブを用いた製作手法の検討を前倒して実施する(エクストラサクセス)など、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
大気圏再突入カプセル TPS への適用に向けてメーカ製造性を確立することを年度目標とする。現在傾斜アブレータの試作にあたってはホットプレス法を用いているが、製作するアブレータの大型化が困難(ホットプレス機サイズに規制される)であることやオペレータの感覚に依存する作業項目があるなど、メーカ製造性が著しく低い。これを克服するにあたり、オートクレーブをいた傾斜アブレータ製作手法を確立する。 これまで実施したオートクレーブを用いた製作手法の検討結果を踏まえ、試作を行う。密度分布評価とアーク加熱風洞における耐熱性能評価を行う。
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