研究課題/領域番号 |
18K04568
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
佐伯 孝尚 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (10415903)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ピークカット制御 / 同報送信 / 分散型制御 |
研究実績の概要 |
本研究は,限られた共通資源を複数の構成要素でシェアする系における資源マネジメントの研究であり,それを従来の集中型の制御とは異なる,同報送信を使用した分散型の制御方式で実現することを目標としている.独立分散方式では各個体が独立に電力使用量の計算を行うが,全体の消費電力情報が各個体に同報し制御を行う.各個体は,自身の保存したい温度との逸脱量および同報された消費電力情報から,自身の逼迫度を計算し,ヒータのON/OFFを独立に決定する. 平成30年度は,まず分散型制御アーキテクチャおよび制御ロジックの検討,設計を実施した.PC上にフルソフトシミュレーションの環境を整備し,温度制御ロジックを実装し,シミュレーションによって制御ロジックの妥当性および性能の確認を行った.結果は良好であり,消費電力のピークを抑えつつ,各個体が温度制御することが確認された. 本研究では,最終的には実機搭載を意識したヒータユニットを完成させることを目的としている.本研究では,同報と親和性の高い無線機能を導入することとし,過去に試作したヒータ制御モジュールについて,無線同報機能を付加し,無線同報の機能を含む基本組み込みソフトウェアの試作を行った.具体的には,周期的な同報機能に加えて,各個体からのポーリングレポートの機能,さらに温度設定やゲイン,総個体数等,可変とする制御パラメタも各個体に配信できるようなソフトウェアを試作し,その機能確認まで完了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度では,元々予定していたフルソフフトシミュレーションによるロジックの確認について問題なく完了している.電力供給が十分な場合,不十分な場合等のケースや,各個体に個性がある場合等の挙動についても確認しており,制御が十分な性能を持って行われていることは確認できている.また,ヒータモジュールの試作を行う予定であったが,ヒータモジュールについては,先行研究で使用したものを活用することにし,それに搭載する基本ソフトウェアを作成し,基本機能の確認まで完了している.本年度開発したソフトウェアをベースに今後改良していくことが可能である.上記から元々の計画に対し概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降については,今年度試作したソフトウェアを搭載したヒータモジュールを使用した,各種性能試験を実施し,現時点での問題点や改良点を洗い出すとともに,ハードウェアおよびソフトウェアの改修について検討し,可能な改修を実施し,実用に向けて完成度を向上させることを基本方策としたい.そこには,個体故障や無線通信のエラー等の検知,処理等動作の頑強化や,ソフトウェアの割り込み処理等の最適化を含めた動作の安定化等についても入れ込みたい.また,温度制御だけではなく,情報処理量(データフラックス)の規制を満たす,独立分散方式のPeripheral Interface Moduleへの拡張について検討を開始したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費において少額の未使用額が発生したが,ほぼ使用計画通りである.来年度のハードウェアもしくはソフトウェアの改修等に使用する.
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