研究成果の概要:初年度にマンガンとニッケルを電極触媒とするAFCセルを製作したが、性能不足だったため、次年度に電極触媒を貴金属に変更すると共に、セル構造の改良を行った。改良後のセルは正立状態で正常なセル電圧を示し、電池出力も安定していた。また、電解液のガス流路への漏れは認められず、セルが正常に稼働していることを確認した。しかし、電流値の増加に伴うセル電圧の低下が著しいことが分かった。空気流量が減少した場合、電池出力の急激な低下が発生する恐れがあるが、本試験範囲ではセル電圧の顕著な現象は認められなかった。
研究成果の学術的意義や社会的意義:燃料電池を船舶の動力源に利用しようとする試みが始まっている。移動体の動力源としてPEFC(固体高分子型燃料電池)が盛んに研究されているが、電池効率・コストの観点からはAFC(アルカリ型燃料電池)の方がPEFCよりも有望である。しかし、AFCを船舶に適用しようとする研究は行われていない。本研究はAFCに及ぼす船体運動の影響を明らかにするために実施されたが、AFCを安定に運転するのに手間取り、正立状態の電池特性を明らかにするのに留まった。
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