• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

深海用ソフトロボティクスの実現へ向けて -非線形同期制御を使った人工筋肉の研究-

研究課題

研究課題/領域番号 18K04577
研究機関東京海洋大学

研究代表者

田原 淳一郎  東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30280366)

研究分担者 小池 雅和  東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70756337)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードVan der Pol / Leaky integrate-and-fire / SWARM / 非線形同期
研究実績の概要

本研究は非線形同期を使った人工筋肉の制御システムの開発に関する研究である。本年度は昨年度と同じくVan der Pol(VDP)とLeaky integrate-and-fire(LIF)を使ったシミュレーションを中心に実施した。特にVDPを用いた振動子の配置による各振動子の位相差を計測し、同位相モード、逆位相モード、三相位相モードの生成を行った。このとき位相を制御するためにそれぞれの波形に対してFFT解析をして、非線形同期を阻害している信号の逆位相の波形を入力に加える事で、任意のモードを実現できる非線形同期システムを開発した。具体的には、VDPの非線形同期が良好でないときに2つのSin波が混じった形となるため、振幅が小さい物の周波数と振幅の逆位相のSin波を入力に加える事で任意の非線形の同期を実現する手法である。
本部分は良好な場合と良好でない場合の条件分けとモード移行が未だ明らかになっていない。シミュレーションについてはMatlabとPythonを使ったシミュレータを作成し、これらのシミュレーション時間の短縮を実施した。これにより、パラメータを総当たり的に検索するシステム開発を行った。しかし成果については条件の場合分けがうまく行ていない。調査中であるハードウエアでは柔らかい樹脂を想定していたが実際には柔軟構造ではうまく実施出来ていない。そこで、小型のコンプレッサーとエアシリンダーを使ったシステムを構成し、非線形同期を使った同期運動システムの設計に着手した。また、マイコンを使ったVDPモジュールの開発も同時に行い、VDPによる非線形振動子を電子化する事で、人工筋肉の実現が容易になることが確認できた。一方で、コロナによる機械部品(バルブ・シリンダー)等の入手が困難であったため試験装置は設計のみ行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

全体としては、シミュレーション等は進んでいるが、実験装置の組み立てが遅れていると言うのが実情である。
実験装置については、柔軟樹脂での試験前に実施する予定であったエアシリンダーによるシステム構成が遅延している。理由としてはコロナの影響でエアシリンダー等の部品購入が遅れたためである。よって、設計のみであった。次年度は4月より部品の購入が可能であると思われるので問題はないと言える。一方で電子回路による非線形振動子の動作については問題無く出来ており、機構部品が揃えば実験が開始可能な状態である。
また、シミュレーションにおいてはFFTによる同期システムのモード変換(同位相モード、逆位相モード、三相位相モード)等がうまくいっていない。現在はFFTを使って周波数を調査しているがZero Cross法による周波数の同定も必要であると考えられる。
しかし、条件によってはモード変換がうまくいく事を確認しており、VDPに振動子に問題となっている波形の逆位相入力を加える条件を細かく場合分け可能なプログラムを作成し試験を実施した。その結果、波形を任意のモードに変更可能である事は確認出来ている。また、モード変換時にユニークな挙動を示す事も理解できているので今後に期待が出来ると言える。

今後の研究の推進方策

今後は、1)シリンダーを使った実験装置の製作、2)VDPシミュレーションによるモード移行制御の確認、3)シリンダーやシリコン等の柔軟物質を使った機械システムと電子回路で作成したVDP回路との結合の実験を実施する。
1)についてはエアシリンダー等の購入や機構組立を早急に実施する。その後、樹脂を使った柔らかい人工筋肉を作成する事が可能であると考えられる。樹脂については3Dプリンターを活用する事で実施が可能である。
2)についてはカギとなると考えられる各位相波形のFFT解析を実施する。非線形同期を阻害している信号の逆位相の波形を入れるアルゴリズムを完成させ、任意に非線形同期のモード変更が可能になるような数値シミュレーションをMatlabとPythonにて実施する。
3)については、VDP非線形同期の数値シミュレーションとエアシリンダーを使った機械システムとの連携をまず目指す。これにより簡易的な人工筋肉の基礎試験を実施する。基礎試験を実施した後は、3Dプリンター等で柔軟構造体を作成しエアシリンダーと同等に電子回路により製作されたVDPモジュールと結合し、動作確認を行う。現在のところVDPを1chipマイクロプロセッサにより実現しており、センサー部の設計を実施すればVDP振動子として活用可能である。

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響で部品調達が遅れ、シミュレーションに特化した研究を実施したためである。PCシミュレーションと小規模の電子回路で研究実施を行ったため費用がさほどかからなかった。
本年度は、エアシリンダーやリニアセンサーを購入し試験を実施する。3Dプリンターで柔軟な樹脂によるアクチュエータ作成を行うための材料を購入し実験を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Underwater Distance Measurement Using Machine Learning2021

    • 著者名/発表者名
      Chai Jiayu, Junichiro Tahara
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2021 in Osaka
  • [学会発表] Modeling of μ-ASV for Motion Control using Neural Network2021

    • 著者名/発表者名
      Shun Fujii, Yamato Kawamura, Junichiro Tahara
    • 学会等名
      ISOPE-2021 Rhodes
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi