前段階として、マイクロプロセッサに導入したVDP方程式と空気圧シリンダを使った同期試験を実施した。スライド式の距離計測器と空気圧シリンダをトライアングルに組み、電磁弁の開閉をVDPにより制御し同期可能かを調査した。その結果、同期可能である事を確認できた。懸念していた高額なサーボ弁を使わずとも可能になった。 ソフトロボティクスの人工筋肉を実現すべくMcKibben型とKestrel Gripper型の人工筋肉を作成し試験を行った。 McKibben型はシリコンチューブと繊維(ナイロン)スリーブを用いる。0.5MPa程度の空気圧であれば容易に既存の圧力システムで制御が可能である事が確認できた。また本方式では人工筋肉の軸方向の収縮よりも径方向の膨張を利用する方が現実的な解である事が確認できた。軸方向の反りは繊維スリーブの伸長率の差に大きく依存する。ここが大きな問題となる。しかし、汎用品のシリコンチューブ・継ぎ手等を活用出来る点ではメリットが大きい。Kestrel Gripper方式は30kPa程度の圧力で設計した方向へ形状を変化させる事が可能で合った。一方で、シリコンモールド成型は制作した筋肉の品質差が大きく、性能が均一なアクチュエータの作成が困難である。 以上のことから、McKibben型の人工筋肉でシリコンチューブを繊維スリーブで拘束する方法が望ましいという知見を得た。現在は布やニット等で場所によって伸長率の異なる繊維スリーブの試作を検討している。また、人工筋肉のVDP制御においては曲げセンサーを活用する事が困難であると判断したため画像認識により人工筋肉の変化量を計測するシステムへ拡張中である。また、本人工筋肉の運動は群れロボット(SWARM)の動作と見なせると考えられたため人工筋肉の結合ルールの基礎研究とSWARMの群れ生成をVDPによって実施した。本研究を国際会議で発表した。
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