研究課題/領域番号 |
18K04582
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 智行 広島大学, 工学研究科, 准教授 (20452609)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Fracture Mechanics / Meshfree Method / Peridynamics / Dynamic Problem |
研究実績の概要 |
動的荷重下の脆性破壊問題は現在の計算破壊力学分野の研究において取り組むべき課題の一つである.一方,有限要素法などの既存の数値解析法では定式化および離散化の問題から複雑な破壊問題を高精度に評価するには不十分である.本研究では,近年新しい破壊力学解析法として注目されている Peridynamic の研究を行っている.今年度は,昨年度に引き続いて脆性材料の破壊発生からき裂進展・停止の挙動について数値解析手法の開発を主に実施した.今年度は,Ordinary State-based peridynamics (OSPD) の定式化,離散化を用いてき裂伝播,停止現象の数値解析を実施した.動的荷重下でき裂が進展すると力学現象とは無関係の数値振動が発生する.Imachi et al. (2018)により提案された transition bond を用いてDCB試験片の高速き裂進展問題の評価を行った.この研究は generation phase と application phase の二つにより評価される.まず generation phase において実験により得られたき裂進展履歴を用いてそのときの動的応力拡大係数を評価する.さらに,application phase では動的応力拡大係数と速度の関係を用いてき裂停止位置を評価する.Kalthoff による実験データをもとにこれまでにもさまざまな数値解析法により評価されてきたベンチマーク問題である.本研究で用いた OSPD と transition bond による結果において,動的応力拡大係数およびき裂進展停止位置とも実験結果および既存の数値解析結果と良好な一致を示した.また,transition bond を導入することによりき裂進展に伴う数値振動の抑制に効果があることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らはこれまでも動的き裂進展問題の解析を試みてきたが定式化および離散化に生じる問題により効率的な評価ができていなかった.今回,Peridynamics が動的破壊問題の評価に適していることが確認できたため,当初の計画と照らし合わせてもおおむね順調に研究が進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
Peridynamics を用いて二次元の動的破壊問題を取り扱うことが可能となった.今後はアクリル,ガラスなどの脆性材料また低温での鋼材材料を用いた実験結果との比較などが課題となる.
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