研究課題/領域番号 |
18K04595
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
牧田 寛子 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (40553219)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コンクリート / 微生物機能 / 海洋環境 / 治癒 / 深海底 |
研究実績の概要 |
メタンハイドレードや金属鉱床といった海底資源や、洋上風力発電所などのエネルギー生産機構の建設といった海洋資源および海洋環境の利活用は、エネルギー政策において極めて重要な課題である。そのため、資源の回収や発電設備建設のための洋上プラットフォームを建設することが検討されており、その基礎部材として使用されるコンクリート材の深海底での長期間の耐久性が求められている。 耐久性に関して重要なことは、コンクリート材の劣化を防ぐことである。劣化は微細な亀裂(マイクロクラック)が契機となり進行することが多く、クラックが拡大すると建造物の倒壊に繋がる危険性も含んでいる。このようなマイクロクラックを速やかに修復することは非常に重要であるが、人の手の届きにくい環境、特に深海底の場合は迅速な対応が困難である。このような環境での劣化に対応するために「コンクリートの自己治癒(自己修復作用)」が検討されている。コンクリートの自己治癒は古くから研究されており、そのほとんどは無機材料を扱ったものであるが、微生物機能を活用することも検討されている。これまで実施されてきた微生物を用いた研究では、いずれも他の環境に生育する微生物を使用し、さらに陸域環境でのみ検討されてきた。そこで、本研究では、微生物機能によるコンクリート材への耐久性の向上および有効性について、室内および実際の海洋環境下での実験によって明らかにすることとした。 平成30年度は、コンクリート材の深海環境下(実環境、擬似環境)での挙動調査や、深海に生息する微生物を用いた室内実験を実施した。また、二箇所の深海底(南海トラフ北縁部および沖縄トラフ)に調査用のコンクリートの設置を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、実際の海洋(深海)環境二箇所へのコンクリートの設置に成功し、さらに深海より単離された微生物を用いた機能試験の実施、さらに水槽を用いたコンクリートへの微生物の影響試験を実施する環境を整えることができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
海底および実験室内の水槽に設置したコンクリートを回収し、物理化学的変化の確認、電子顕微鏡観察や微生物学的調査(微生物群集解析、培養による機能試験)によって海洋環境下でのコンクリートの挙動と微生物による影響を明らかにする。
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