研究課題/領域番号 |
18K04598
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
樋口 良之 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (50324017)
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研究分担者 |
筧 宗徳 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (00453655)
石川 友保 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (40419031)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地域と観光 / 旅客移動 / シミュレーション解析 / 住民と観光客 / 二次交通 / 経済波及効果 / 施策検証 |
研究実績の概要 |
我が国の地方都市では、人口減少などの影響により、地域サービスの一つである公共交通の維持が難しく、交通インフラは縮小傾向にある。一方、インバウンドを含む地域外からの観光が着目され、観光資源の再生、新興、ネットワーク形成に伴い、地域交通モデルの再構築の機運が高まっている。本研究では、地域住民と観光旅行者の共生(相乗効果)による地域交通の維持、再生を検討できる支援システムを開発し、事例解析を行い、それらの妥当性と有効性を検証することである。また、それを使って地域交通の再構築を図り、利用者の便益などを検証する。 当該年度は、前年度に開発した運賃、時間、満足度を算定できる旅客移動シミュレーション解析を使い、事例解析を進めた。具体的には、協力をいただいている中海・宍道湖・大山圏域にある安来市を対象に、コミュニティバスの活用による効果を検証した。観光客向けに試験運行されたコミュティバスについて、観光客と地域住民の両者が利用できるようになった場合の利便性を検証した。また、継続的に持続可能な運行を検討するために、コミュニティバスの維持費用を賄える利用者数を導出したり、コミュニティバスの運行による経済波及効果を試算したりした。 また、鳥取県を事例に、日本国内の地方から鳥取県への観光入込客数について、期待できる増加人数を試算し、経済波及効果を算定した。観光客の消費内訳を産業連関表の分類上で3つから17 項目へ拡大し、より現実的な経済波及効果の算定方法を示した。さらに、地域二次交通事業者との連携、協力による施策を一例にした地域への経済波及効果の検証手順と結果を示した。この検証手順により、二次交通事業者や地方公共団体が、地域の各部門と連携して観光に対しての具体策を検討でき、その具体策について、経済性の観点から有効であるかを確認できるものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住民と観光客の地域二次交通の利用と活性化において、地域経済波及効果が重要であると、事例解析の対象地域でヒアリングできた。今年度は、地域観光施策において二次交通事業者と協力することで、域内移動費用、お土産消費などの変動が与える地域経済波及効果を算定するなどのニーズに対応できた。また、この結果を、これまでの事例解析の対象地の他へも活用した取り組みを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に、当初の計画に沿って研究を進める。今後は、さらなるシミュレーション解析の妥当性検証、交通・観光施策の検証支援システムの構築、日常生活と観光の移動の相互影響を考慮した交通網の見直し、利便性、経済波及効果の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、豪雨災害などにより、研究者の所属地域、事例解析対象地域での活動にやむを得ない制限があり、旅費などを予定通り執行できず、予定使用額より少なくなったためである。このこともあり、調査が遅れ、事例解析のためのデータ整備においても、予定よりも入力数が少なくなり、謝金を予定通り執行できなかったことも理由である。当年度分として対応できなかった調査とデータ整備について、次年度使用額と合算して、次年度の執行とする。
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