ネット通販ほとんどを占める小口貨物が輸送中に破損する最大の要因は、人力による過酷な荷扱いのために生じる衝撃負荷であり、その際の落下高さを精密に評価する必要があるが、輸送環境調査の計測結果に即して決定するべきである。 1年目は、ケアマークの有無の条件が、荷扱いの荒さ(丁寧さ)すなわち落下方向別の落下高さにどのように影響するのかを、実際の宅配輸送データ計測を通じて検討する中で、回転運動など遠心加速度が混在する加速度波形から落下の波形を同定することが現状では困難であり、複雑な落下を想定される場面では、精確に落下高さを換算することができないことを明らかにした。 2年目は、想定される輸送回数・輸送個数に対する最大落下高さを保障することができる、新たな包装貨物落下高さ決定方法について、現状の輸送環境記録計解析ソフトウェアに実装するアルゴリズムを作成した。さらに、前年度に計測した加速データをここで開発した手法を用いて落下高さ解析を再度実施することにより、適正な包装を実施するための前提条件としての高精度な落下姿勢と高さを明確にした。結果として、回転運動など遠心加速度が混在する加速度波形から落下の波形を同定することが現状では困難であり、宅配便など複雑な落下を想定される場面では、精確に落下高さを換算することができないことが改めて明らかになった。 3年目は、これまで圧電式加速度計を用いた落下高さ換算の検討がされてきたが、回転を伴う落下では正確な落下高さを解析することが出来なかったことを受けて、DC成分が計測可能なMEMS加速度計を備えた計測器を用い自由落下開始時の落下初速度を解析することで、鉛直落下及び回転落下においても正確な落下高さを換算する手法を提案し、その有効性を実証した。
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