研究課題/領域番号 |
18K04611
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
有薗 育生 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20175988)
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研究分担者 |
竹本 康彦 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70382257)
崎山 朋子 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (30770052)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 不完全情報 / システム信頼性 / 故障時間 / 修復時間 / サプライ・チェーン / 需要情報 |
研究実績の概要 |
複雑・多様化する今日の各種システムを稼働・運営する場合において,システムの信頼性・安全性を保証することは必須の課題である.ここに,システムの稼働において,稼働環境や稼働条件に普遍的に不確実性がともなう.そこで本研究課題では,不完全な情報環境下におけるシステム信頼性評価法,安全性評価法を構築することを目的としている. このような目的のもとに,Taguchiによる品質損失を品質評価基準として品質保証を行う問題に取り組んだ.Taguchiによる品質損失のもとで品質保証を行うとき,品質評価基準値として同一である場合にもいくつもの状況が存在し,これらの不確実性が存在する.このことに鑑みた品質保証のための2段階検査方式を定義した. また,システムの信頼性向上のためにシステム構成の冗長化が行われる.このとき,システムの構成要素の故障時間や修復時間の分布を正確に定義することは必ずしも容易ではない.ただし,故障時間や修復時間の平均や分散はシステムの信頼性を評価する場合において最小限必要でかつ現実的に与えられる情報である.このことに鑑み,冗長化された2コンポーネント待機冗長システムの信頼度関数を与えるための方法を構築した. さらに,サプライチェーンにおけるサプライヤとリテイラ間での取引に係る契約手法において有効とされる買戻を含む取引条件の最適化について考察した.この際,市場における購買需要はこの取引条件の最適化問題において重要な予測情報である.ただし,購買需要を分布として正確に予測することは容易ではない.そこで,購買需要の平均と分散の情報だけを予測値として与えた場合の買戻を含む取引条件の最適化を図るための方法を構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において,Taguchiによる品質損失を品質評価基準として品質保証を行うための2種類の検査に関して,検査方式の決定法に関する研究成果が公益社団法人日本経営工学会論文誌とInternational Journal of Production Researchに論文掲載された. また,冗長化された2コンポーネント待機冗長システムの信頼度関数を与えるための方法について180th The IIER International Conferenceで発表を行った. さらに,購買需要の平均と分散の情報だけを予測値として与えた場合の買戻を含む取引条件の最適化を図るための方法についての研究成果をThe 19th Asia Pacific Industrial Engineering and Management Systems Conferenceにおいて発表した.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に引き続き,品質保証,システム信頼性および市場情報などにおける情報に不確実性が存在する状況における意思決定問題について検討を進める. これらにより得られた成果を2018年度と同様,各種学会や国際会議で報告するとともに,国際専門誌を中心に投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)情報収集や資料収集およびプログラミングなどを研究グループメンバ内で行ったため,学生アルバイトなどの謝金が発生せず,人件費・謝金に残を生じた.また,既存計算機設備でプログラミング開発を前倒しで行ったため,予定していた計算機設備を購入しなかった.これにより,物品費に残が生じた.一方,想定よりも早く成果が出たため,これらの成果発表のための旅費ならびにその他(国際会議参加費,論文掲載料)の支出が予定額を上回った. (使用計画)次年度は,より広範な資料を収集する予定であり,このための費用が掛かるものと予想される.また,収集された情報の整理およびデータベース化,さらにはコンピュータ・シミュレーションの実施などに掛かる人件費・謝金がより必要になるものと予測している.同時に,遅れていた計算機等の設備の整備・増強がより必要になるものと思われる.よって,これらの経費として当該2018年度の執行残額(次年度使用額)を充てるものとする.
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