研究課題/領域番号 |
18K04613
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
坂本 淳 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (90548299)
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研究分担者 |
原 忠 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (80407874)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 道路啓開計画 / アクセシビリティ / 道路復旧計画 / GIS / 経路探索 / 南海トラフ地震 / 復旧日数 / 利用頻度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,広域的な自然災害発生後に,被災地の被害を最小限にするための道路ネットワークを確保する施策を提案することである.本年度は以下のことを実施した. (1)将来の高規格幹線道路の整備が大規模災害発災後の道路ネットワーク被害の軽減にもたらす影響を評価した.前年度に構築したモデルを援用し,四国8の字ネットワーク整備計画のうち未供用区間(総延長245km)について,防災拠点間の経路としての代替性,接続性に基づき優先順位を明示した.整備区間の中には,複数の整備を組み合わせることで重要度を顕著に高めるものがあることがわかった. (2)新たに高知県の道路啓開計画に関するデータを借用し,被害最小化施策の検討に活用した.当該データには前年度よりも詳細な復旧計画を検討できる属性(寸断想定,復旧日数,救援ルートとしての指定有無)が示されており,これを保有している道路ネットワークの各区間に入力した.その後,各区間の復旧日数を閾値とし,救援ルートとしての選定頻度が高いものから早期に復旧する手法を新たに構築し,代替手法と比較することで優位性を示した. (3)道路の寸断に加え,地盤沈下による長期浸水時の道路復旧の検討を行った.高知市,宿毛市を対象として,長期浸水の影響範囲を設定し,当該区域の復旧をプロセスの下流に設定することで,早期に道路ネットワーク全体のアクセシビリティを高めることができることを示した.さらに,長期浸水発生時に想定される,浸水域内に滞留する被災者を救出する手法を構築することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会施策の意義は実ネットワークに適用できるかが重要な点となる.今年度は,詳細な道路啓開計画を借用したため,前年度に構築したモデルを再度検討する手順が追加で生じたが,当初の検討範囲の拡張が可能となったと考え,研究は順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度では,これまでの2年間で検討した課題を整理して被害回復状況を示すとともに,早期の復旧が可能となる計画を示すとともに,その成果を公表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度に投稿した学術論文の査読(2編)が年度内に終了せず,掲載料を翌年に持ち越すこととなった.また,購入を予定していた人口統計メッシュデータの発売が遅延していることから,翌年度に購入する計画とした.
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