研究課題/領域番号 |
18K04642
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研究機関 | 公立諏訪東京理科大学 |
研究代表者 |
上矢 恭子 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 助教 (10803356)
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研究分担者 |
須川 修身 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 教授 (60162856)
岡 泰資 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (10240764)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ニオイ / 定量分析 / 定性分析 / 火災臭 / 生活臭 / 火災感知 / ニオイマップ |
研究実績の概要 |
「きな臭いニオイ」などのニオイの変化により、煙や熱の発生より早い段階で火災に気づくことがある。人はニオイを火災発生の判断に使っており、ニオイは火災科学の重要な要因の1つとなっている。これまでに、木材やプラスチック材料が酸化熱分解する際には、ニオイが強くなり、またニオイの質が変化することが明らかとなっている。一方で、室内には調理時や芳香剤などの様々なニオイ(生活臭)があり、ニオイを指標とした火災感知に生活臭が及ぼす影響の範囲は解明されていない。本研究は、ニオイ測定装置を用いて、調理時や芳香剤等の生活空間のニオイを定性・定量時に測定し、木材やプラスチック材料等の酸化熱分解時に発生するニオイとの違いを明らかにする。さらに、ニオイによる火災感知を目指した、生活臭と混同しない火災臭のニオイ基準を作製する事を目的とする。 一定のニオイガスを作成することができる、アロマオイルを対象に実験を行った。各種アロマオイルを約1ppm程度のガスに調整し、におい識別装置で測定を行った。また、果物から発生するニオイの計測を行った。果物から発生するニオイは、グレープフルーツなどの外皮のあるものは、外皮と果肉の部分を分け、それぞれ室温(23℃程度)で測定を行った。その結果、アロマオイルの柑橘系のニオイとされているものは、外皮のニオイに高い類似性が見られたことより、ニオイが近いことが分かった。一方で、果肉の部分は花のアロマオイルのニオイに類似性が高く出現した。木材やプラスチック系材料の酸化熱分解時には、アルデヒド系の物質が発生することが明らかとなっている。これらのニオイと室温でのアロマオイルや果物のニオイでは、ニオイの質が異なることが明らかとなった。今回の測定では、ニオイ調整しやすいアロマオイルを用いて測定を行った。今後は洗剤など、身近なニオイの発生源となるものについて検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、一定のニオイガスを作成することができる、アロマオイルを対象としており、計画通り進んでいる。また、果物やアロマオイルと、火災時に発生する「きな臭いニオイ」は、明らかに異なると感じる。しかし、アロマオイルや果物には、強いニオイがある事から、芳香族系を中心とした物質の混合の可能性が高い。そのため、火災の指標となる可能性が高い、アルデヒド系の物質も含まれている可能性があり、その点に着目して研究を進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、火災と認識するニオイの測定では、天然高分子材料の木材および合成高分子材料のプラスチック材料を対象に研究を行ってきた。来年度は、食品の調理時のニオイを対象としていく予定であり、野菜や果物の酸化熱分解時のニオイ変化や、肉や魚などのタンパク質を含む材料の酸化熱分解時のニオイに着目した実験を進めていく予定である。
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