研究課題/領域番号 |
18K04644
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
濱田 俊之 宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (20733695)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 太陽光発電システム / 太陽電池アレイ / ラピッドシャットダウン / 電磁リレー / 火災 / 風害 |
研究実績の概要 |
当該年度では、太陽光発電システムの感電事故の低減を目的とした感電防止システムのプロトタイプの開発を行った。例えば、米国では火災に見舞われたPVS(太陽光発電システム)による消防隊員の感電事故を防ぐため,NEC 690.12を定めている。同規定では2019年1月よりPVSに火災等の緊急時にPVS内の電路を速やかに低電圧化する機能であるラピッドシャットダウン(Rapid shutdown)の導入を義務付けている。我が国では現在,NEC 690.12のようなPVS火災時の感電事故防止に関する規定はされておらず、我が国のPVSの多くはラピッドシャットダウンのような感電事故防止機能は導入されていない。また、米国で導入されたラピッドシャットダウンは、マイクロインバータにてシステムを実現しているが、我が国のPVSのほとんどはストリングインバータを採用しており、既設PVSへの導入は難しい。加えて、NEC 690.12は火災を対象とした電気安全技術であるが、PVSによる感電危険状況は故障や風害によるPVモジュールの飛散、水没時など多岐にわたる。そこで、当該年度では、風害や各種故障時においても安全を保てる電磁リレーを用いたPVSのラピッドシャットダウンシステムを考案した。前述システムはa接点リレー及びc接点リレーを用いて緊急時に太陽電池アレイのPVモジュール間の接続を解列及びPVモジュールを短絡させることで感電事故を抑制する手法としている。また、リレー動作は商用電源に依存させることで風害での飛散や停電を併発した状況下では安全システムが自動的に働くものとしており、フェールセーフシステムを実現している。当該年度は前述システムのプロトタイプを製作し、システムが正常動作できることを確認した。次年度は、システムの耐久性や更なる安全性向上に向けた追加機能の検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
太陽光発電システムの感電事故防止に向けた手法として『物理的遮光技術』ならびに『電気的な安全システム開発』の2つの視点より研究を開始し、前者は2018年度の成果において身近に入手可能な水溶性塗料の塗布で十分な太陽光発電の発電停止を行えることが明らかになっている。ただし、前述手法における感電事故防止には、電気法規的な安全閾値の整備が必要となるため、これ以上の検討は電気法規上の整備が必要と考える。 そこで、本年度以降は電気的な安全システムの開発に注力することとした。本年度は電磁リレーを用いた太陽電池アレイ解列及び太陽電池モジュールの短絡を同時に実施可能なラピッドシャットダウンシステムを着想し、プロトタイプの製作及び適正な動作確認試験を行うことができた。現時点において、概ね当初の研究計画における安全システム開発は完了している水準であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画における太陽光発電設備の感電事故防止を目的としたシステムの無電圧化技術として物理的遮光による手法及び電気的手法の両アプローチにより太陽光発電システムの無電圧化技術について検討した。遮光技術は進捗状況に記載のとおり、ある程度評価は完了し、電気的手法についても太陽光発電設備を無電圧化するラピッドシャットダウンシステムのプロトタイプの製作及び正常な動作が可能であることを確認することができている。 次年度は提案するラピッドシャットダウンシステムにおいて更なる安全向上のための機能の付加や実装に向けた改良および提案システムの耐久性の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては、研究調査および成果発表を精力的に実施した。また、感電防止システムの構築を行う課程において15,503円が残ってしまったが、交付額の95%以上は予算執行しており概ね予定とおり適正に予算の執行は行っている。
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