沖合での津波計測は、沿岸に到達する前の情報を含むため、津波の予測の観点で重要性が高い。沖合の津波モニタリングの方法として、GPSブイや海底圧力観測に基づく観測網が、日米を中心に展開されてきている。本研究は、不特定多数の船舶に基づくAISデータが、現状の枠組みにおいてそのまま沖合の津波センサーとして使い得ることを示した。学術的な意義として、運動方程式に基づく検討により、津波流れに対する船体の応答様式を評価でき、逆に津波流れも精密に評価することができた。社会的な意義として、現状のAISがそのまま使えることで、津波予測システムの構築に利用するための追加コストがほとんど必要ない点は特筆すべきである。
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