研究課題/領域番号 |
18K04660
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
野々村 敦子 香川大学, 創造工学部, 准教授 (60363181)
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研究分担者 |
磯打 千雅子 香川大学, 四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構, 特命准教授 (10505225)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 避難行動分析 / 豪雨 / 地形 / 地域 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
平成29年7月九州北部豪雨において東峰村では3名の犠牲者が出たが,より大きな被害が出ていてもおかしくない状況であったにもかかわらず,被害を最小限に抑える避難行動がとられた。本研究ではこの要因について明らかにすることを目的とした。今年度は,東峰村において豪雨当時の住民の避難行動などをヒアリング調査した結果の分析を進めた。その結果,自然に対する関心は,全員が持っていたわけではないが,関心がある人,豪雨によって被害が出始めている状況を目の当たりにした人が近所の人たちに呼び掛けることによって,早期の避難行動をとることが出来たことが分かった。 一方,これまで大雨の時には浸水することはなく,地域の避難所として利用されていたところが,上流による土石流の影響で避難所としては相応しい状況ではなかったにもかかわらず,危険を冒して避難した人がいた地域もあった。この原因は,当該河川がハザードマップが整備される対象の河川ではなかったため,住民はその危険性を把握することが難しかったことがある。地形の成り立ちから考えると,頻度の低い大規模豪雨であれば危険であることは判断することができることから,今後,地域と技術者を繋ぐネットワークによって,低頻度豪雨にも備える必要あることも分かった。 東峰村での避難行動分析については,International Journal of Environmental Research and Public Healthに論文投稿し,査読者との意見交換をもとに,レジリエンスの観点から成果をまとめた。 また,本研究では,豪雨時避難行動調査を西日本豪雨で被害を受けた宇和島市吉田町,令和元年東日本台風で被害を受けた東松山市早俣地区でも実施した。避難行動の状況と行動の動機は地域によって異なることが分かった。これは,本研究で得られた成果を水平展開する上で非常に意義深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東峰村での避難行動分析は,国際ジャーナルに投稿し,査読者との有意義な議論により,より考えをブラッシュアップすることができた。また,西日本豪雨や令和元年東日本台風の被災地での避難行動調査も実施したことから,順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,2017年の豪雨を受けて住民の避難に対する計画に変化があったかどうかを追跡調査する予定である。しかし,新型コロナウィルス感染拡大の影響でスケジュールを計画できないことが懸念点である。 現地に行ってお話をお聞きするのが一番効果的であるが,もしできない場合,遠隔会議システムなどを使ってお話を伺うことが出来るかも検討する必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の掲載が決まったのが、3月中旬になり、掲載料の支払いが年度内に出来なかった。また,3月に予定していた追跡調査が新型コロナウィルス感染拡大の影響で出来なかった。これらの支出はすべて次年度実施する予定のため,次年度使用額とした。
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