研究課題/領域番号 |
18K04661
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大槻 知史 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (40399077)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 防災行動 / 行動変容モデル / 働きかけ / 認知的プロセス / 高知 / 南海トラフ巨大地震 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に提示したprochaskaのTTM理論の事前防災行動への援用モデル(大槻,2018)を基にして、市民向け行動変容プログラムの設計・試行と効果検証を行った。具体的には下記の3点を行った。
(1)個人を対象とした行動変容プログラム:南海トラフ地震に対する家庭内での事前防災行動の実施を獲得目標として、無関心期から関心・準備期への行動変容のトリガーである「意識の高揚」「感情的体験」「環境の再評価」「自己の再評価」および関心・準備期から行動維持期への行動変容のトリガーである「コミットメント」「刺激の統制」「強化マネジメント」の機会を組み込んだワークショップ型防災プログラムを設計・試行した。具体的には1)児童及び保護者(約200世帯)、2)高齢者(約20世帯)を対象にしたプログラムを設計・実施し、行動変容が確認された。また別途、災害発生時の屋外避難体験の仮想体験を通じた児童向けの行動変容プログラムの設計を行った(新型コロナウイルス感染症の影響により試行は来年度に延期。)
(2)組織を対象とした行動変容プログラム:今年度は災害時における避難者受入組織を研究対象として、組織レベルでの事前防災促進のためのプログラムの設計・試行を行った。具体的には大規模災害時に指定避難所としての受入定員を大幅に超過する避難者の受入が想定される大規模施設を対象に「意識の高揚」「感情的体験」「環境の再評価」「自己の再評価」及び「コミットメント」の機会を組み込んだワークショップ型防災プログラムの設計・試行及び効果検証を行った。(大槻,2019)。合わせて東日本大震災の事例を元にした教材を用いて「感情的体験」及び「環境の再評価」「自己の再評価」及び「コミットメント」の機会を組み込んだワークショップ型訓練を実施し、効果検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に設計した事前防災の行動変容モデルに基づき、介入型研究の形でプログラムの設計及び試行が達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は研究の最終年度として下記を実施予定である。
1)昨年度の試行プログラムの検証結果に基づくプログラムの再設計、2)改善プログラムの効果検証(前後比較及び対照群プログラムとの比較)、3)プログラム普及のための達成条件の同定と導入戦略の提示
なお、新型コロナウイルスの状況によっては、オンライン実施を前提としたプログラムの再設定や、新型コロナウイルス感染症対策を組み込んだプログラムの導入を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症により、ワークショッププログラム試行の一部が実施できなかったため次年度使用額が発生した。これについては、次年度使用額を活用して2020年度に試行を実施し、研究を進める予定である。
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