本研究は、災害廃棄物処理計画内外で見逃されている災害廃棄物対策上の重要な2つの課題・災害ボランティアとの連携と災害時トイレマネジメントにおいて、これまで蓄積された知見に加えて本研究による調査研究結果をもって、災害廃棄物処理計画を補完するマニュアルを策定し、全国の自治体の災害廃棄物対応に資することを目的とするものである。 2018年度は、被災した自治体や社会福祉協議会等を対象にヒアリング調査を実施し、災害廃棄物処理に係るアクターにおける課題を抽出した。さらに、7月に発生した西日本豪雨災害の被災自治体のうち岡山県倉敷市、総社市、高梁市、愛媛県大洲市、宇和島市について視察調査ならびに市役所職員等へのヒアリング調査を実施した。また、広島県、岡山県、愛媛県内の16の自治体を対象に、災害廃棄物処理におけるボランティアセンターとの連携などの状況や災害時トイレの状況についてアンケート調査を実施し、13の自治体から回答が得られた(1自治体は部分的に回答)。 2019年度は、2018年に実施したアンケート調査結果について分析を行い、第41回全国都市清掃研究・事例発表会にて研究発表を行った。また、全国自治体を対象としたアンケート調査の設計を進めた。 本研究の最終年度である2020年度は、全国の1741の基礎自治体を対象とした災害廃棄物処理および計画策定、災害トイレ対策等に関するアンケート調査を実施し、結果の分析を行った(有効回答数797、有効回答率45.8%)。この結果より、やはり災害ボランティアとの連携は進まず、災害時トイレについても十分に準備できているとは言えない状況が明らかになった。しかしながら、災害廃棄物処理計画の実効性を検証し、それらの分析結果を基に最終的に災害廃棄物処理マニュアルの策定には至ることができなかった。これについては今後の課題としたい。
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